連載 小倉邦彦の資産運用時事コラム第7回 特別編「企業年金の先輩に聞く資産運用の過去・現在・未来」~元DIC企業年金基金 理事 近藤英男氏ロングインタビュー~【後編】
年金基金の資産運用に大きな足跡を残された近藤英男氏(元DIC企業年金基金理事)へのロングインタビュー。「前編」「中編」に続き、今回は、現在の市場環境下での諸課題に対する考えや、企業年金連絡協議会 資産運用研究会の活動を中心にお話を聞きました。
「中編」の記事はこちら。
(目次)
1.はじめに
2.年金基金時代の基本的な運用方針
3.運用会社との付き合い方
4.母体企業との付き合い方
5.PA投資について ~ なぜ2004年から始めたのか?
6.PA投資について ~ なぜリーマンショック後に拡大したのか?
7.PA投資について ~ 各資産クラスに対する考え方(投資スタンス)
8.流動性のあるオルタナティブ投資(ヘッジファンド、マルチアセット等)への対応
9.伝統四資産への対応
【後編】
10.最近の運用環境(2つのトピックス:難しい債券運用とPA投資の拡大)に対する考え
11.企業年金連絡協議会 資産運用研究会について
10.最近の運用環境(2つのトピックス:難しい債券運用とPA投資の拡大)に対する考え
小倉 最近の運用を取り巻く環境で、多くの企業年金が頭を悩ませているのが債券運用だと思います。債券運用のコアであったヘッジ外債は、2022年度は日本を除く先進国で金融政策の正常化が進み、長期金利上昇でこれまで経験したことがないような大きなキャピタルロスが発生しました。今年度は長期金利の上昇はある程度収まってきているようですが、日米金利差の拡大によるドル円ヘッジコストの上昇や、逆イールドによりヘッジ外債のキャリーは大きなマイナスに落ち込んでいます。為替ヘッジを外す動きも一部ではありますが、足元のドル円相場の水準を考えると円高方向に動くリスクもあり躊躇されるところです。円債は順イールドでキャリーもプラスですが、日銀の金融政策見直しによっては長期金利が上昇するリスクもあり避難場所として円債を選択するというのもなかなか難しいところです。近藤様が基金の運用執行理事であれば債券運用についてはどのように対応されていたでしょうか。
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