2022年には株式・債券の同時安に見舞われ、国内投資家もこの市場の混乱による影響を免れることができなかった。多くの企業年金は政策アセットミックス(政策AM)上で債券の比率が下がり、相対的に底堅かったプライベートアセットを含むオルタナティブ資産はむしろ比率が増加している。まだまだ先行きが不透明な中で、どのようにリバランスの実務に当たっていくべきだろうか。加えて、分散効果を前提に政策AMは策定されているはずだが、その常識外の事態が発生しており、政策AMとリバランスルールの関係にも注目が集まっている。そこで本特集では、コンサルタントの見解と企業年金のケーススタディを通して、改めて政策AMとリバランスの在り方について考える。
長期リターン獲得に向けた政策AMと
リバランスルールのあるべき姿とは
このパートでは、政策AMとリバランスルールの関係性や在り方について整理するとともに、投資家の事例やリバランス対応の考え方などについて、野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティングの権代紘志氏とラッセル・インベストメントの金武伸治氏に話を聞いた。
2022年度のマーケット状況が企業年金の運用に突き付けた課題
2022年度は、運用者にとって頭の痛い1年になっているのではないだろうか。インフレの高進によって各国の金利は急上昇し、結果として幅広い資産クラスで大きな下落を経験した。特に債券のパフォーマンスは厳しく、国内債券(NOMURA-BPI総合)が-5.5%、ヘッジ外債(FTSE WGBI除く日本)は-14.9%となっている(2022年1月から2023年1月末)。株式はヘッジの有無などで違いがあるものの、本来的には株式と債券の分散効果が期待されるところだが、現地通貨建てで見ればそれは発揮されなかった。ピックアップ
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