長期安定運用の実現に向け、多くの企業年金では生保一般勘定とプライベートアセットの2つをエンジンとして安定インカムの確保に努めてきた。そうした中、相次ぐ生保一般勘定の予定利率引き下げが関係者に衝撃を与えている。果たして一般勘定の予定利率引き下げにはどんな対応が考えられるのか。そして、ますます期待がかかるプライベートアセットの可能性はどこまで広がっているのか。年金プロダクト需給調査の結果に、コンサルタントの視点も交えて2大トピックの最新動向を紹介する。
Part 1 相次ぐ一般勘定の予定利率引き下げその背景と対応策を探る
昨秋来の大手生保による引き下げを年金コンサルタントはどう見る?
昨年10月に一般勘定の予定利率を引き下げた第一生命に続いて、今年4月には日本生命が、2023年4月から予定利率を0.75%下げて0.5%にすると発表した。第一生命の引き下げ発表以降も低金利環境が続いていることを踏まえれば、他の生保の追随もある程度は予想されていたが、今回の日本生命の発表は「運用環境が厳しさを増す中、長期安定的に団体年金商品を提供していくためには、中長期的な視点に立ったリスク管理および健全性の確保が必須」とし、単純に運用難のみが引き下げの理由ではない可能性も示唆した。
この点について、野村フィデューシャリー・リサーチ&コンサルティング(以下、NFRC)のフィデューシャリー・マネジメント部エグゼクティブ・コンサルタントの高松博之氏は、他の生保各社も同じ論理で引き下げに動く可能性が高いと見ている。「大きな理由は、生保に対するソルベンシー規制の見直しです。この規制に基づくソルベンシー・マージン比率を健全性評価の指標としている金融庁が、2025年4月の見直しに向けて準備を進めているのです」。
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