2006年に創刊した「オル・イン」は今年15年目を迎えるが、その間に企業年金の運用を取り巻く環境は激変した。本シリーズでは4回にわたって、15年の中で起きた象徴的な出来事や大きな変化にフィーチャー、「金融危機」「年金制度」「金融政策」「年金ポートフォリオ」の4つの視点から過去を振り返りつつ、今後の運用に資する情報を読者に届ける。
第1回となる今号では「金融危機」にフォーカスし、2008年に発生した「リーマン・ショック」とその後に着目した。目下、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて世界の実体経済は大混乱に陥っているが、しばしば引き合いに出されるのが2008年のリーマン・ショックだ。未曽有の金融危機を経験した後、投資家や市場関係者はいかなる対応をとり、危機からの「復活」を遂げたのか。コロナ禍という現在進行形の「危機」との比較も交えて取材した。
金融緩和と規制緩和が証券化バブルへの道を開いた
2007年の米国サブプライム住宅ローンバブルの崩壊と、以後のグローバル経済・マーケットを大混乱に陥れた「世界金融危機」。その象徴的な出来事とされる米大手証券会社リーマン・ブラザーズの破綻に由来して、日本では「リーマン・ショック」と呼ばれることが多い。2008年9月15日の同社破綻直後、元従業員たちがダンボール箱を抱えてニューヨークの本社オフィスを後にする光景は、今でもニュース映像などで目にする機会がある。
一連の危機のインパクトは、株価の下落幅が最も端的に表している。米S&500指数は、2007年10月のピークから09年3月のボトムまでの500日あまりの間に、乱高下を繰り返しながら55%以上も下落。再び株価が危機以前の水準まで回復するのに何年もの歳月を要した(図1)。
では、そもそもなぜこのような大混乱を招いてしまったのか。国際金融アナリストで金融史にまつわる著書も多いRPテック代表取締役の倉都康行氏は次のように分析する。
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