今回の資産運用時事コラムは「資産運用立国実現プラン」をテーマに、3回シリーズで深掘りしていく。今回は【前編】として、プラン策定までの流れとDBへの影響について考察した。なお、【中編】では資産運用立国分科会の議事要旨や報告書の中身を確認し、その内容を読み解く。【後編】ではDB関係者の仮想座談会形式でDBサイドの生の声を交えてその影響や対応について議論していきたい。
■目次
【前編】
・資産運用立国に関するこれまでの流れ
・資産運用立国分科会での議論の流れ
・金融庁/金融審議会 「資産運用に関するタスクフォース」報告書
【中編】
・第2回分科会で議論された内容とは
・「資産運用立国実現プラン」を読み解く
・金融庁/金融審議会 「資産運用に関するタスクフォース」報告書
【後編】
・はじめに
・座談会開催にあたって司会より現状説明
・運用の見える化について
・専門人材の活用に係る取組状況について
・資産運用力の向上
・定期的な運用委託先の評価
・共同運用の選択肢の拡大
・スチュワードシップ活動の実質化について
・アセットオーナー・プリンシプルとEMP
・ベンチャーキャピタル・プリンシパル
・おわりに
【前編】
資産運用立国実現プラン策定までの流れと
DBへの影響は?
資産運用立国に関するこれまでの流れ
企業年金を巻き込んだ資産運用業者やアセットオーナー改革の流れは、2022年11月28日に「新しい資本主義実現会議」*1において「資産所得倍増プラン」が決定されたことで本格的にスタートした。我が国の2,000兆円に達する家計金融資産の半分以上を占める現預金を投資につなげることで、持続的な企業価値向上の恩恵が資産所得の拡大という形で家計にも及ぶ「成長と資産所得の好循環」を実現させることを目的とし、以下の取り組みが柱とされた。