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連載 小倉邦彦の資産運用時事コラム
第10回 企業年金関係者が語る2024年の運用課題 特別座談会【中編】

2024年2月8日
小倉 邦彦 /  『オルイン』シニアフェロー
元 三井物産連合企業年金基金 シニアアドバイザー

今回の資産運用時事コラムは「2024年の運用課題」をテーマに3回シリーズでさまざまなテーマを掘り下げていく。【中編】では、オルタナティブ資産を中心に各資産の市場動向や政策AMへの影響、近年人気を博すオルタナティブ資産のマルチ戦略について議論を展開する。



■目次

【前編】※前回

・はじめに

・仮想座談会出席者一覧

・為替リスクの管理と高止まりするヘッジコスト、対応とその影響

・債券運用の見直し ①外国債券

・債券運用の見直し ②円建て債券

 

【中編】

・インフレ、高金利、高ヘッジコストが
 インカム系プライベートアセット投資に与える影響

・プライベートエクイティへの影響

・デノミネーター効果がDBのプライベートアセット投資に与える影響

・小規模基金におけるプライベートアセット投資の導入~オルタナマルチは解の一つ?

・存在意義が問われるマルチアセット~2024年は正念場

・ヘッジファンドは再評価の兆しも、人気のマルチマネジャ―型はコスト増の懸念

【後編】

・一般勘定の取り扱い~解約控除も無視できず当面は維持が多数

・悩ましい株式運用、バリューかグロースか?スタイル分散か?

・ESG投資~一時のブームは去ったがESGは自然体で考慮されるように

・おわりに

 

【中編】

インフレ、高金利、高ヘッジコストが
インカム系PA投資に与える影響

司会:欧米での長引く高インフレやそれに伴う高金利、また高水準の為替ヘッジコストは比較的堅調と言われているPA投資にも影響を与えているようです。米国不動産は金利上昇に伴うキャップレートの上昇でバリュエーションが大きく低下、オフィス市場の低迷もあり私募REITのベンチマークであるNFI-ODCE2022年第4四半期から5四半期連続でトータルリターンがマイナスに落ち込んでいます。

インフラは景気に対する耐性もある程度あり、収入がインフレ連動となっている契約もあるので、外貨建てでは堅調に推移しているようですが、日本のDBが選好するコアのオープンエンド型ファンドではドルベースのリターンが89%程度のため、ドル円ヘッジコストが6%近くになるとヘッジ後のリターンが23%に圧縮されている状況かと思います。

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小倉 邦彦

 『オルイン』シニアフェロー
元 三井物産連合企業年金基金 シニアアドバイザー

1980年三井物産株式会社入社。本社、広島支店、ドイツ(デュッセルドルフ)等にて経理、財務業務を担当後、1998年~2006年 本店プロジェクト金融部室長。
2006年~2009年 米国三井物産ニューヨーク本店財務課 GM。
2009年~2011年 本店財務部企画室 室長。
2011年~2013年 三井物産フィナンシャルサービス株式会社 代表取締役社長。
2013年~2017年 三井物産都市開発株式会社CFO。
2017年5月~2022年6月 三井物産連合企業年金基金 常務理事兼運用執行理事。
2022年7月~2023年3月 同基金シニアアドバイザー。

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