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連載 小倉邦彦の資産運用時事コラム
第10回 企業年金関係者が語る2024年の運用課題 特別座談会【前編】

2024年2月1日
小倉 邦彦 /  『オルイン』シニアフェロー
元 三井物産連合企業年金基金 シニアアドバイザー

今回の資産運用時事コラムは「2024年の運用課題」をテーマに、3回シリーズでさまざまなテーマを掘り下げていく。今回は【前編】として、為替ヘッジコストや内外債券運用の諸課題を中心に議論を展開する。

■目次

【前編】

・はじめに

・仮想座談会出席者一覧

・為替リスクの管理と高止まりするヘッジコスト、対応とその影響

・債券運用の見直し ①外国債券

・債券運用の見直し ②円建て債券

 

【中編】

・インフレ、高金利、高ヘッジコストがインカム系プライベートアセット投資に与える影響

・プライベートエクイティへの影響

・デノミネーター効果がDBのプライベートアセット投資に与える影響

・小規模基金におけるプライベートアセット投資の導入~オルタナマルチは解の一つ?

・存在意義が問われるマルチアセット~2024年は正念場

・ヘッジファンドは再評価の兆しも、人気のマルチマネジャ―型はコスト増の懸念

【後編】

・一般勘定の取り扱い~解約控除も無視できず当面は維持が多数

・悩ましい株式運用、バリューかグロースか?スタイル分散か?

・ESG投資~一時のブームは去ったがESGは自然体で考慮されるように

・おわりに

 

【前編】

はじめに

2023年度は、年度スタート時からの株高もあり確定給付企業年金(以下DB)のパフォーマンスは比較的堅調に推移しており、4~12月の累計は平均すると4%台に達しているようだ。FRBの利上げも本年1FOMC4会合連続見送りとなり、米国の利上げはピークを越えた感が漂ってきた。また、長期金利の指標となる米10年国債利回りも一時の5%を超える状況から4%近辺に低下し、外国債券を多く保有している企業年金も安堵しているのではないだろうか。

一方で、日米欧の金融政策の違いによる政策金利の乖離幅は引き続き大きく、ドル円で6%近い為替ヘッジコストはDBの運用にとって頭痛の種として残っている。また、本年2024年に目を向けると日米欧の中央銀行はそれぞれ金融政策を変更する可能性が高まっており、FRBECBは年内の政策金利引き下げ、日本はイールドカーブ・コントロール(以下YCC)やマイナス金利の解除が想定されている。欧米と日本で異なる方向に動く金融政策は債券運用に大きな影響を与える可能性がある。

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小倉 邦彦

 『オルイン』シニアフェロー
元 三井物産連合企業年金基金 シニアアドバイザー

1980年三井物産株式会社入社。本社、広島支店、ドイツ(デュッセルドルフ)等にて経理、財務業務を担当後、1998年~2006年 本店プロジェクト金融部室長。
2006年~2009年 米国三井物産ニューヨーク本店財務課 GM。
2009年~2011年 本店財務部企画室 室長。
2011年~2013年 三井物産フィナンシャルサービス株式会社 代表取締役社長。
2013年~2017年 三井物産都市開発株式会社CFO。
2017年5月~2022年6月 三井物産連合企業年金基金 常務理事兼運用執行理事。
2022年7月~2023年3月 同基金シニアアドバイザー。

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