金融政策分析レポート「セントラル・バンク・ウォッチャー:進行中の作業」
各国の中央銀行による目標に向けた作業は進行中ですが、意味合いはそれぞれ異なります。FRBは政策金利をインフレ抑制的な水準へと、さらに大幅に引き上げる方針を掲げています。ECBも同様の方向に向かいつつあると見られ、9月の政策理事会では大幅な追加利上げの必要性が明確に打ち出されました。両者にとって、中立金利の水準(金融政策がインフレ抑制的となる水準)が切り上がったかどうかが、重要な問題の1つとなります。金融市場はこの問題に対する答えを提示することになるでしょう。イールドカーブのフラットニングや逆イールド化は、政策スタンスがインフレ抑制的であることを既に示唆しています。
中国人民銀行にとって「進行中の作業」とは、他国において顕在化したようなインフレの高進を避けつつ、不動産市場の低迷や新型コロナウィルスの感染拡大がもたらす経済的影響に対応することを意味します。ロベコは引き続き、中国の金融政策は引き締めに向かうのではなく、さらに緩和される可能性の方が高いと見ています。一方、日銀に関しては、政策スタンスの転換に向けた動きは非常に限定的であると見られます。方針転換の原動力となりうるインフレの動向は、端的に言ってほとんど変わっていません。そうは言っても、円安圧力が強まる中で、イールドカーブ・コントロール(YCC)には何らかの形で修正が加わると予想しています。まさに進行中の作業と言えるでしょう。
要点
- FRB: 1970年代の教訓
- ECB: ほど遠い水準
- 中国人民銀行: 流れに逆行する政策の継続
- 日本銀行: フラットニングの大幅な進行
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