2016年に開始した「年金プロダクト需給調査」も今年で5回目を迎える。
コロナショック直後の2020年に実施した前回調査では、マーケットが回復基調に転じる中で、短期的な市場変動には揺るがない年金ポートフォリオの姿が明らかになった。
それから2年が経過したいま、海外中央銀行は空前のインフレに対応すべく急速な利上げに動き、それにともなう景気減速が懸念されている。
現時点では長期化も予想されるこの難局に対して、企業年金はどのような対策を講じ、運用会社はどのような提案をしているのか。
双方へのアンケートから年金運用を巡る最新のトレンドを明らかにしていく。
今回の調査は今年5月9日~6月3日にかけて実施し、129の年金投資家から回答を得た。内訳は基金型が111、規約型が16、その他が2で、調査結果は基金型、規約型、その他の回答を集計して掲載している。
図1では、企業年金が設定するリスク・リターン水準の状況をまとめた。2020年に実施した前回調査と同様に、予定利率の分布は「2.1%~2.5%」が最も多く、全体の44%を占めている。目標利率はここに0.5%程度を上乗せした「2.6~3.0%」が最多となったが、3.1%以上を設定する基金の割合は前回調査よりも増加している。
想定するリスク水準の分布を見ると、「4.0%以下」「5.0%以下」「6.0%以下」がほぼ横並びの台形状になっており、「5.0%以下」を頂点にピラミッド型を示していた前回と比較すると、「3.0%以下」の回答が減って、想定リスク水準が全体的に上昇した形だ。なお、想定リスクを6.1%以上に設定する基金の割合も前回の20.5%(28件)から今回は24.8%(32件)へと上昇しており、コロナ禍以降のボラタイルな市場環境が反映されている可能性がある。
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