2016年に開始した「年金プロダクト需給調査」も今年で5回目を迎える。
コロナショック直後の2020年に実施した前回調査では、マーケットが回復基調に転じる中で、短期的な市場変動には揺るがない年金ポートフォリオの姿が明らかになった。
それから2年が経過したいま、海外中央銀行は空前のインフレに対応すべく急速な利上げに動き、それにともなう景気減速が懸念されている。
現時点では長期化も予想されるこの難局に対して、企業年金はどのような対策を講じ、運用会社はどのような提案をしているのか。
双方へのアンケートから年金運用を巡る最新のトレンドを明らかにしていく。
今回の調査は今年5月9日~6月3日にかけて実施し、129の年金投資家から回答を得た。内訳は基金型が111、規約型が16、その他が2で、調査結果は基金型、規約型、その他の回答を集計して掲載している。
図1では、企業年金が設定するリスク・リターン水準の状況をまとめた。2020年に実施した前回調査と同様に、予定利率の分布は「2.1%~2.5%」が最も多く、全体の44%を占めている。目標利率はここに0.5%程度を上乗せした「2.6~3.0%」が最多となったが、3.1%以上を設定する基金の割合は前回調査よりも増加している。
想定するリスク水準の分布を見ると、「4.0%以下」「5.0%以下」「6.0%以下」がほぼ横並びの台形状になっており、「5.0%以下」を頂点にピラミッド型を示していた前回と比較すると、「3.0%以下」の回答が減って、想定リスク水準が全体的に上昇した形だ。なお、想定リスクを6.1%以上に設定する基金の割合も前回の20.5%(28件)から今回は24.8%(32件)へと上昇しており、コロナ禍以降のボラタイルな市場環境が反映されている可能性がある。
ピックアップ
よく見られている記事ランキング
-
連載 小倉邦彦の資産運用時事コラム第17回 大和ファンド・コンサルティング 今福リサーチフェローとプライベートアセット投資を徹底討論 【前編】
Web限定 プライベートアセット 寄稿 資産運用時事コラム -
オルインセミナーレポート 「金融政策の転換と為替市場の見通し ―日本は円安を止めることができるのか」
セミナーレポート 市場見通し -
野村年金ニュース解説企業年金の運用状況(2024年度第1四半期)
Web限定 企業年金 -
オルインセミナーレポート 「多様な分散がもたらす頑健なポートフォリオ構築のポイントは」
オルタナティブ セミナーレポート 企業年金 -
オルインセミナーレポート 「市場環境の変化に対応するポートフォリオ運用の考え方」
Web限定 オルタナティブ セミナーレポート プライベートアセット 債券 -
アライアンス・バーンスタインの運用責任者に聞く 銀行の自己資本強化で脚光浴びるプライベートデットの現在
Web限定 プライベートデット 市場見通し -
連載 小倉邦彦の資産運用時事コラム第9回 フォローの風に乗るプライベートデットの最新動向を探る後編:ダイレクトレンディングに関する井戸端会議 ~ 最新動向を議論する
Web限定 寄稿 資産運用時事コラム -
「Tokyo Asset Management Forum2022 Autumn」
開催レポート
運用会社の多様化でアセットオーナーの運用高度化を後押しするWeb限定 セミナーレポート -
注目を集める不動産新セクター、トリプルネットリース
Web限定 不動産 企業年金 金融法人 -
地域金融機関から注目集める新ソリューション「OCIO」とは何か?
Web限定 金融法人