ニッチな投資対象「フロンティアアセット」を紹介する本シリーズの第5回は、国内投資家の間でもにわかに注目を集めているトレードファイナンスを取り上げる。
安定した収益や満期までの短さなどが魅力でもあるこの資産クラスだが、グリーンシル問題やコロナ禍などでネガティブなイメージを持つ向きもあるだろう。そこでまずアリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの川村学氏、松村智明氏、神頭大治氏の話をもとに戦略の特徴やチェックポイントを整理したうえで、トレードファイナンス戦略を採用する大和ハウス工業企業年金基金の山根透氏に投資に至った背景や意義について聞いた。
トレードファイナンスとは、狭義では貿易金融を意味するが、昨今では企業間の取引に係るファイナンスの全般を指す言葉である。2014年に日銀から発表された「商流ファイナンスに関するワークショップ報告書」の中で、トレードファイナンスについて言及されたこともあり、徐々に日本でも認知されるようになった。また、手形の電子化によってフィンテック企業の新規参入、銀行の規制によって投資家からの資金流入が進み、新たな投資機会として注目度の高まる分野である。