ニューノーマル時代のESG投資を考える本シリーズ3回目は、「国内スタートアップ企業への投資とESG」に注目する。株式運用におけるESGといえば、成長を遂げた上場企業への投資を中心に語られることが多いが、一方で非上場企業、とりわけスタートアップへのベンチャーキャピタル(VC)投資の視点で見ると、いかなる景色が広がっているのだろうか。今回は国内VCの現状と課題、ポテンシャルについて、関係者に話を聞いた。
近年、日本の企業年金の間でプライベートアセットへの投資が急速に浸透し、不動産やインフラといったリアルセットと並んで、プライベートエクイティ(PE)への投資も拡大している。もっとも、PEと言ってもバイアウト投資が中心で、スタートアップ企業が投資対象となるVCに投資している企業年金はごく少数だろう。しかし海外に目を転じるとVC投資は歴史も長く、また近年、急拡大を遂げている。
「プレキンのデータによると、2016年末から2021年3月末までの約5年間でVCの運用資産残高は5470億ドルから1兆6800億ドルへと、約3倍に拡大しています。ITを中心にイノベーションが驚異的なスピードで進展していることに加え、VC市場に潤沢な資金が流入しているため、経営者がIPOを急がずに、長期間未上場でとどまるケースが増えていることも拡大の要因でしょう」と、マーサージャパンの資産運用コンサルティング部門、シニアコンサルタントの細谷弥穂氏は語っている。
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