「プライム市場」の誕生がメディアで大きく報道されているように、2022年4月4日から東京証券取引所の新たな市場区分がスタートする。さらに、TOPIXの見直しが段階的に行われ、これまでの「市場第一部=TOPIX構成銘柄」という構図も変更されていく見通しだ。本特集では、市場区分の見直しやベンチマーク指数の変更で注目される、日本株市場の最新トレンドに注目。まずは新たな市場区分やTOPIXの変更に関わる今後のイベントを整理したうえで、企業年金をはじめとするアセットオーナーにとっての日本株投資の意義を再考しながら、アクティブ戦略の最新動向も確認していく。
東証新市場区分とTOPIX見直しのアップデート
1841社がプライムを選択した新市場区分の理想と現実
2022年1月11日、東京証券取引所は4月4日にスタートする新市場区分に関連して、各上場会社の市場選択の結果を公表した。昨年7月9日、移行基準日(6月末日)時点で新市場区分の上場維持基準に適合しているか否かを東証が各社に通知したのを受けて、上場会社は9月から12月にかけて「プライム」「スタンダード」「グロース」の新市場区分のどれを選択するかを東証に申請し、その結果が公表されたのだ。
それによると、全上場会社3777社(1月11日時点)のうち、プライム市場を選択したのは1841社、スタンダード市場は1477社、グロース市場は459社。市場第一部(2185社)に限って見ると、実に84%がプライム市場を選択した一方で、スタンダード市場を選択したのは344社にとどまった(図1)。
「多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額(流動性)」や「より高いガバナンス水準」、さらに「投資家との建設的な対話を中心に据える」といったコンセプトを掲げて新設されたプライム市場ではあったが、今年4月の段階では、これまでの市場第一部と大差ない顔ぶれでスタートすることとなった。
市場区分のコンセプトと実態との間にギャップが生じた背景には、既存の上場会社のために設けられたさまざまな「経過措置」がある(図2)。例えば、本来のプライム市場の上場維持基準では、流通株式時価総額は100億円以上だが、経過措置のもとでは10億円以上と、わずか10分の1。それ以外にも、流通株式数、売買代金、流通株式比率についても、本来の上場維持基準よりも緩やかに設定されている。
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