2月中旬現在の弊社企業年金ユニバースの運用実績の推計平均値は、遂に12%を超えた。今の市場環境を見て、違和感があるのは私だけではないだろう。企業年金は平成バブルの崩壊、ITバブルの崩壊、リーマン・ショックと数々の苦難を乗り越えてきたが、将来想定される事態は遥かに厳しいものとなりそうだ。
長年にわたる世界的な過剰流動性供給の結果として、リーマン・ショック以降の企業年金の運用実績は平均で年率5%程度となり、この間3回あった単年度でのマイナスリターンも―1%程度で収まっている。極めて好調な時期が続いてきたと言えよう。しかしリーマン・ショック前の企業年金は2000年度から3年連続でマイナスリターン(累積で―25%程度)となるなど、大変な苦難を経験してきている。良くも悪くも、世の中は想定外のイベントが起こるのが常であり、事前に予測することは不可能と思ったほうがいい。
年金運用において、一般論として運用機関の投資のタイムホライズンは短いのに対して、アセットオーナーである企業年金のそれは長期である。長期的な観点で自ら許容しうるリスクのもとに、目標リターンを獲得するためにポートフォリオを構築して、リスク管理を行っている。企業年金を守る資産運用担当者ができることは、議論を重ねて熟考した上で機関決定したポートフォリオのリスク管理を、ルールに基づいて粛々と行うことであり、経済危機やバブルに際して軸をぶらさないことである。