2月中旬現在の弊社企業年金ユニバースの運用実績の推計平均値は、遂に12%を超えた。今の市場環境を見て、違和感があるのは私だけではないだろう。企業年金は平成バブルの崩壊、ITバブルの崩壊、リーマン・ショックと数々の苦難を乗り越えてきたが、将来想定される事態は遥かに厳しいものとなりそうだ。
長年にわたる世界的な過剰流動性供給の結果として、リーマン・ショック以降の企業年金の運用実績は平均で年率5%程度となり、この間3回あった単年度でのマイナスリターンも―1%程度で収まっている。極めて好調な時期が続いてきたと言えよう。しかしリーマン・ショック前の企業年金は2000年度から3年連続でマイナスリターン(累積で―25%程度)となるなど、大変な苦難を経験してきている。良くも悪くも、世の中は想定外のイベントが起こるのが常であり、事前に予測することは不可能と思ったほうがいい。
年金運用において、一般論として運用機関の投資のタイムホライズンは短いのに対して、アセットオーナーである企業年金のそれは長期である。長期的な観点で自ら許容しうるリスクのもとに、目標リターンを獲得するためにポートフォリオを構築して、リスク管理を行っている。企業年金を守る資産運用担当者ができることは、議論を重ねて熟考した上で機関決定したポートフォリオのリスク管理を、ルールに基づいて粛々と行うことであり、経済危機やバブルに際して軸をぶらさないことである。
ピックアップ
よく見られている記事ランキング
-
連載 小倉邦彦の資産運用時事コラム第17回 大和ファンド・コンサルティング 今福リサーチフェローとプライベートアセット投資を徹底討論 【前編】
Web限定 プライベートアセット 寄稿 資産運用時事コラム -
オルインセミナーレポート 「金融政策の転換と為替市場の見通し ―日本は円安を止めることができるのか」
セミナーレポート 市場見通し -
野村年金ニュース解説企業年金の運用状況(2024年度第1四半期)
Web限定 企業年金 -
オルインセミナーレポート 「多様な分散がもたらす頑健なポートフォリオ構築のポイントは」
オルタナティブ セミナーレポート 企業年金 -
オルインセミナーレポート 「市場環境の変化に対応するポートフォリオ運用の考え方」
Web限定 オルタナティブ セミナーレポート プライベートアセット 債券 -
アライアンス・バーンスタインの運用責任者に聞く 銀行の自己資本強化で脚光浴びるプライベートデットの現在
Web限定 プライベートデット 市場見通し -
連載 小倉邦彦の資産運用時事コラム第9回 フォローの風に乗るプライベートデットの最新動向を探る後編:ダイレクトレンディングに関する井戸端会議 ~ 最新動向を議論する
Web限定 寄稿 資産運用時事コラム -
「Tokyo Asset Management Forum2022 Autumn」
開催レポート
運用会社の多様化でアセットオーナーの運用高度化を後押しするWeb限定 セミナーレポート -
注目を集める不動産新セクター、トリプルネットリース
Web限定 不動産 企業年金 金融法人 -
地域金融機関から注目集める新ソリューション「OCIO」とは何か?
Web限定 金融法人