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プライベートアセット総点検2026 ③不動産編

2026年10月7日

オルイン編集部では2026年8月、プライベートアセット(PA)のGPを幅広く見ている運用会社・ゲートキーパーを対象に、プライベートエクイティ(PE)、プライベートデット(PD)、不動産、インフラの4資産の見通し(強気〜弱気の5段階)とリスク認識を統一フォーマットで調査した。アセットクラスごとの「見方の分布」と全社合算の「市場コンセンサス」、各社の注目テーマを取りまとめる。 本ページでは不動産を取り上げる。

調査概要:調査時点=2026年8月/回答=運用会社・ゲートキーパー6社(アダムズ・ストリート・パートナーズ、野村アセットマネジメント、ハミルトン・レーン、三井住友信託銀行、ラッセル・インベストメント、りそな銀行)/設問=今後1年の新規コミットメント妙味および中期(3〜5年)の期待リターン環境を、他資産対比のオーバーウェイト/アンダーウェイトとして5段階で聴取。ラッセル・インベストメントはスタンス未回答(コメントのみ)、アダムズ・ストリート・パートナーズはPDのみスタンス回答(PEはノービュー)。
シリーズ:プライベートアセット総点検2026 ①プライベートエクイティ編|②プライベートデット編|③不動産編|④インフラ編|⑤リスク総点検編

不動産の見通し

強気(+2)やや強気(+1)中立(+0)やや弱気(-1)弱気(-2)ノービュー=カバー外
不動産やや強気 +0.50

今後1年(4社)

3
1

中期(3〜5年)(4社)

1
2
1
各社スタンス(今後1年):
やや強気 野村アセットマネジメント、三井住友信託銀行、りそな銀行やや弱気 ハミルトン・レーン
  • ハミルトン・レーン 注目:住宅、ヘルスケア、インダストリアル、データセンター / ヘルスケアや住宅などテーマ性のある分野における良好な需給環境。 / リスク:持ち家コストの低下、サプライチェーンの混乱、資本的支出のコスト上昇圧力。
  • ラッセル・インベストメント 注目:賃貸住宅、物流、ヘルスケア、データセンター / 短期的にはセクターによって回復にばらつきがある一方、新規供給の減少に加え、高齢化による住宅・ヘルスケア需要や、AI・デジタル化を背景としたデータセンター・物流需要が中期的なファンダメンタルズを下支え。 / リスク:オフィス等の空室率、高金利環境下での借り換え負担、バリュエーション水準
  • 野村アセットマネジメント 注目:セクター:産業用施設、賃貸住宅/エリア:欧州、日本/戦略:バリューアッド / 欧州・日本を中心に一定のファンドレイズ・不動産取引が継続。賃料・資産価値上昇を能動的に行い市況に応じて機動的な価値創出が期待できるバリューアッド戦略に注目。賃貸住宅・産業用施設など底堅い需要を維持可能な構造成長分野への投資は選別的に回復し、エグジットと運用実績も中長期的に持ち直す見通し。 / リスク:地政学・エネルギー価格の不安定化でインフレ再燃や利下げ遅延が懸念され、不動産価格及び不動産取引の回復が想定より遅延。売却・分配・償還の遅延や資金調達環境の悪化、オフィス・リテールの構造的逆風も続く。
  • 三井住友信託銀行 注目:商業施設。10年以上不人気セクターで割高感なく利回りも高い水準。特に、必需品消費中心の施設に注目。 / 海外不動産は2022年9月以降の金利上昇局面で評価額が大幅に下落しており、足元の評価額は相対的な割安感あり。また不動産賃貸市場は供給制約があり、一部を除き堅調となる見込み。 / リスク:金利の急騰、金融システムのシステミックリスク。
  • りそな銀行 注目:日本:オフィス、住宅/海外:住宅、物流、オルタナティブ(高齢者住宅、メディカルオフィス等) / 国内:東京、大阪を中心に空室率の低下に伴い賃料上昇が続くと見ています。/海外:短期的な金利低下が想定されにくい中、賃料成長が重要ファクターになると考えられますが、長期視点での社会的な需要に加え、向こう数年間の限られた物件供給量等を踏まえ、住宅、物流、オルタナセクターは魅力的であると見ています。 / リスク:インフレが再燃した場合、金利上昇によるリファイナンス条件悪化や資産価値が下落するリスクがあります。また、価格転嫁機能を備えていても実際に賃料転嫁できるまでのタイムラグが発生する場合があります。

※分布バーの数字は社数(ノービュー・未回答を除く)。平均はスタンスを強気=+2〜弱気=−2で数値化した単純平均。非公開希望の回答は社名を伏せて集計のみに反映。

コンセンサス・データ一覧

強気比率=+1以上の社の割合、弱気比率=−1以下の社の割合。順位は4アセットクラス中の平均の強気順。

①今後1年のコミットメント妙味

アセットクラス 回答 平均 中央値 強気比率 弱気比率 順位
不動産 4社 +0.50 +1.0 75% 25% 2位

②中期(3〜5年)の期待リターン環境

アセットクラス 回答 平均 中央値 強気比率 弱気比率 順位
不動産 4社 +1.00 +1.0 75% 0% 3位

運用者の一言コメント(回答全社)

プライベート・エクイティでは、弊社は短・中期の市場見通しに依存せず、優良ファンドへの継続した投資によって公開市場を長期的に上回る収益獲得を目指す、FoFs運用を行っております。そのため、将来的な市場見通しは設定しておりません。

一方、プライベート・クレジットでは、現状、高い利回りに加え、借入倍率が抑えられ、エクイティ比率も過去比で高いため、足元のリスク・リターンは非常に魅力的と見ています。

アダムズ・ストリート・パートナーズ
Tobias True, CFA, FRM(Partner, Investment Strategy and Risk Management)
Bill Sacher(Partner, Head of Private Credit Investments)

プライベートアセット全体で企業業績や信用リスクの著しい悪化などの兆候は見られないものの、インフレ・高金利とAIによる産業構造変化が中長期的に継続するため、様々な環境下でもαを創出できる運用者を選別することが重要。セカンダリー市場利用の一般化や流動性のあるファンドの拡大により、GPの投資評価額の透明性も重視。また、投資環境変化が海外より順次波及している日本に投資機会が増えると考えます。

野村アセットマネジメント
寒河江 弥生氏(オルタナティブ運用部長)

中長期的な見方として総じて楽観的な見方を維持しています。足元は上場市場対比で低調なパフォーマンスが続いており、2021年以降はバイアウトからの分配も停滞していますが、低パフォーマンスや低分配が長期的に持続した歴史的証拠は乏しく、構造的な変化のシグナルではないと考えます。

ハミルトン・レーン
北尾 智子氏(日本代表)

→ 会社情報・戦略詳細(個別ページ)

プライベートアセット市場全体としては中立からやや強気の見方をしている。 足元のプライベートアセット市場は、金利高止まり等が重石となる一方、価格調整が進んだ海外不動産、参入障壁の高いPE投資、安定収益が期待できるインフラ、プライベートデットなどに選別的な投資機会が広がっている。中長期では魅力的な投資環境に向かいつつあるものの、信用リスクや流動性リスク、政策・規制動向には引き続き注意が必要である。

三井住友信託銀行
プライベートクレジット:渡邉 紘平氏(オルタナティブ運用部 クレジット投資チーム長)
リアルアセット:有賀 英比古氏(オルタナティブ運用部 リアルアセット投資第2チーム長)
PE:千葉 恭平氏(三井住友トラスト・インベストメント株式会社 海外プライベートエクイティグループ 第1ユニット長)
インフラ:松井 博氏(オルタナティブ運用部 プリンシパル)

プライベートアセット市場では、AI・デジタル化やインフラ需要などを背景に、構造的な投資機会が広がっています。一方、高金利環境下で資本コストが高止まりする中、投資先企業の事業改善や投資機会を実際の収益につなげる力がより重要になっています。運用会社の専門性や実行力を見極め、選別的に投資機会を捉えることが重要と考えられます。

ラッセル・インベストメント
河西 正勝氏(プロダクト・ソリューション部 プロダクト ソリューション マネージャー)

プライベートアセット市場全体としては拡大を続ける一方で、出口環境の不透明感や信用サイクルの変化などを背景に、従来以上に選別が求められる局面にあると考えています。今後について、短期的には出口環境や信用動向への注視が必要ですが、地域・戦略・アセットクラスごとの分散を徹底し、それぞれの市場サイクルや構造的成長要因を見極めることで、中長期的には魅力的な投資機会が期待できると考えています。

りそな銀行
中丸 拓真氏(信託財産運用部 インベストメントマネジメント室 グループリーダー)

回答企業の個別ページ(有料掲載)

本調査の各社回答は市場全般に関する見解(ハウスビュー)であり、特定の金融商品の勧誘・投資助言ではありません。スタンスの数値は編集部にて強気=+2〜弱気=−2に換算して集計しています。