運用会社では数あるオルタナティブデータをどのように活用しているのか。ファンドマネジャーとして運用戦略に落とし込む三菱UFJ信託銀行の神田氏に話を聞いた。
従業員の口コミデータを株式クオンツ戦略に活用
運用者の詳細な評価がアルファ創出の源泉に
――オルタナティブデータの活用に関して、貴社の取り組み状況をお聞かせください。
当社では株式、債券、オルタナティブなど、さまざまなアセットクラスの運用でオルタナティブデータを活用しています。特に株式投資の文脈では、財務諸表だけでは企業価値を適切に推計しにくくなってきたため、2006年ごろから特許や研究開発に注目し、分析を始めました。企業が持つ収益力を測る上で、ブランドや人的資本などの無形資産を正しく評価する重要性は日増しに高まっていると感じています。
三菱UFJ信託銀行資産運用部
国内株式クオンツ運用グループ
ファンドマネージャー
神田 裕樹 氏[/caption]
――では、運用者としてどんなデータに注目し、どのように投資戦略に生かしているのでしょうか。
私が運用しているファンドでは、複数のオルタナティブデータを参考情報として採用していますが、その中の1つが従業員による企業の口コミデータです。普段から学術論文を中心に運用に役立ちそうな情報を収集しているのですが、2018年に従業員の口コミデータと企業業績・株価との関係性を調査した研究を目にしたことがきっかけでした。