運用会社では数あるオルタナティブデータをどのように活用しているのか。リサーチ部門で幅広い戦略にオルタナティブデータの活用を進める三井住友トラスト・アセットマネジメントの松本氏に話を聞いた。
オルタナティブデータが「代替」でなくなる未来へ
専任部署を新設して運用者にインサイトを提供
――まず、オルタナティブデータに関連した貴社の取り組みについてお聞かせください。
グローバル運用を行う中でデータの収集や分析はこれまでも重視していましたが、オルタナティブデータの活用が加速したのはコロナ禍がきっかけでした。人々の行動様式が前提から覆されるような事態に遭遇し、その変化を正しく捉えるにはこれまでにない角度からの情報が求められました。

データサイエンスユニット ユニット長
松本 宗寿 氏[/caption]
それを端的に表しているのが、コロナ禍で実施された旅行支援事業「Go Toトラベル」に関連するデータでしょう。感染拡大が懸念された時節柄もあって、メディアなどではGo Toトラベルに対してややネガテ ィブな言説も飛び交っていました。しかし、実際には旅行関連のWebサイトのアクセス数やスマートフォンアプリのダウンロード数は増えており、むしろ消費者は旅行に前向きであるということが、データから明らかになりました。こうした事例などからオルタナティブデータの有効性を実感したことで、運用への本格的な導入が進みました。