2023年11月、毎年恒例の三井住友信託銀行による資産運用セミナーが開催された。11月22日の東京開催セミナーには257名の企業年金関係者が参加した。同社の資産運用セミナーは毎回、第1部の基調講演で同行の環境認識を踏まえた年金運用の課題を提示し、それに対応した年金資産運用の新たなソリューションが提案されることから、非常に有益で、筆者の現役時代にも毎回参加していたセミナーである。
今回の基調講演では、「インフレ/金利のある世界における年金資産運用」として運用目標・期待リターンの引き上げによる収益力強化が課題として提示され、そのソリューションとして債券・オルタナティブ等の安定収益確保枠の収益力強化や、株式・オルタナティブ等の上乗せ収益追求枠に非財務・人的資本といった新たなアクティブ収益源泉を取り込むことなどが提案された。非財務情報をベースとした人的資本重視銘柄分散型ファンドで戦略の分散拡張を図るという考え方は、人的資本の開示が義務化される等その重要性がますます高まっている中で、タイムリーな戦略と感じた。
また、第4部では、インフレ/金利のある世界における資産運用の方向性が示された後、第2部で取り上げられたインカム系プライベート投資(マイクロファイナンス)や第3部で取り上げられた「人的資本投資、日本株人材活躍戦略」以外の同行戦略を中心に、債券・株式・ヘッジファンド等でのソリューションポートの提案があった。
今回は第1部の基調講演と第4部に焦点を当て、講演要旨を紹介したい。
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