連載 小倉邦彦の資産運用時事コラム第8回 静かに動き出した米国のノンバンク規制 ~SECは私募ファンド規制も導入彼らは街で踊り続けられるのか?~
2023年10月31日
1.動きだした米国の大規模ノンバンク規制
(彼らは街で踊っている~Non-Bank rivals are dancing in the streets)
米銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは電話による第2四半期決算説明会の席上で、アナリストからの銀行に対する規制強化に関する質問に対し「彼ら(ノンバンク)は街で踊っている(dancing in the streets)*1」と答えたと7月16日のBloombergは伝えている。FRBの銀行監督トップであるバー副議長が、大手行の資本要件引き上げの計画を示したのちに、銀行ではないアポロ・グループ・マネジメントの株価が最高値を更新したことを、アナリストの1人が指摘したことに対する返答であった。またダイモン氏は「これは、ヘッジファンド、プライベートエクイティ(以下「PE」)、プライベートクレジット(以下「PD」)、アポロ、プラックストーンにとって素晴らしいニュースだ」とも述べている。
*1「Dancing in the streets」はMartha & The Vandellasが1964年にリリースした大ヒット曲、David BowieとMick Jaggerが1985年に開催されたLIVE AIDでこの曲をカバーしてデュエットしている。
ダイモン氏は以前から銀行だけでなくノンバンクへの規制の可能性について言及していたが、Bloombergは「今年に入り、十数人の規制当局者、銀行と資産運用会社の幹部、元政府高官らが、“シャドーデット(影の負債)”とその金融機関とのつながりが大きな懸念材料だと指摘している」とも伝えている。