これまで債券や株式等のいわゆる伝統資産について説明してきました。最後のオルタナティブ投資については範囲が広いので、今回と次回の2回に分けて解説していきます。「オルタナティブ」の言葉の意味は「代替」ですが、オルタナティブ投資(代替投資)に共通した定義や分類はなく、伝統4資産以外の資産クラスが全てオルタナティブ投資でひとくくりにされていると言えます。
ちなみに、企業年金連合会による用語解説では、オルタナティブ投資について「投資対象が伝統的資産(国内外の株式や債券)以外の運用、あるいは運用手法が従来と異なる運用などを総称して、一般的にオルタナティブ投資といわれている。例として、不動産、プライベート・エクイティ(PE)、コモディティ(商品)などの資産や、空売りやレバレッジなどを活用した投資手法によるヘッジファンドの各戦略などが該当する。」と解説されています。
大別すると1)不動産やインフラ、非上場株のような従来の伝統4資産以外のオルタナティブ資産(非伝統的な投資対象)への投資、2)ヘッジファンドのようにショートポジションやレバレッジを活用し、従来の伝統的な投資手法(ロングオンリー)とは異なるオルタナティブ戦略を用いるファンドへの投資、に分けられると考えられます。
そこで、まず前編では2)の主役となるヘッジファンドとそれに類似したマルチアセット戦略を説明し、後編では1)に該当する不動産、インフラ、プライベートデット(PD)、PE等の低流動性資産の概要を説明していく予定です。
1 .拡大するオルタナテティブ投資とヘッジファンド
A氏:今期は株式が好調ですが、この数年伝統4資産のリターンが厳しいせいもありオルタナティブ投資の割合が増えてきているようですが、企業年金のオルタナティブ投資はどのように拡大してきたのでしょうか?
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