日銀の政策を占うには詳細な分析が必須
変革後の世界ではいっそう債券の重みが増す
ピムコジャパンリミテッドマネージングディレクター
日本における代表者 兼 アジア太平洋共同運用統括責任者 正直 知哉 氏
――まず、昨年の円債市場の振り返りからお願いします。
私たちは昨年初めから日銀の政策変更はしばらくないと見ていましたが、市場ではイールドカーブコントロール(YCC)の早期変更を織り込む局面が何度かありました。短期と長期の金利は政策によって固定されているため、投機筋は超長期債をターゲットにします。そこで当社では、政策変更の思惑によって長期と超長期の金利差が大きくなる「スティープ化」を狙った戦略を実行。これが、運用パフォーマンス的には奏功しました。
ただし、この戦略は、「市場はYCCの変更を織り込むが実際には政策は動かない」限り有効です。昨年後半には、世界的なインフレが日銀の想定を上回って日本にも波及していたため、当社では政策変更の可能性が徐々に高まっていると見ていました。そこで、年末までにはスティープ化戦略を手仕舞い、デュレーションをアンダーウェイトする戦略に切り替えていきました。そして実際、12月のYCC修正で長期金利が上昇しました。