日銀による政策修正は早くて今年度後半
持続的な物価上昇が定着するか否かに注意
チーフ債券ストラテジスト 六車 治美 氏
――昨年度の振り返りをお願いします。
昨年度は世界的に想定外のインフレが発生し、米欧中央銀行は景気を犠牲にしても、インフレをコントロールすべく利上げに舵を切りました。相対的に日本のインフレ圧力はマイルドでしたが、それでも消費者物価指数が前年比で一時4%を超える伸びとなりました。インフレの上昇に伴って日銀による大規模緩和政策からの出口が意識され、イールドカーブコントロール(YCC)の運用も困難に直面した1年でした。
昨年12月に日銀がYCCをサプライズ的に修正したことで、黒田氏が今年4月初めの任期満了前に大規模緩和の出口政策に踏み出す、あるいは後任の新総裁が比較的早いタイミングで緩和政策の修正に踏み出すのではないかとの思惑が、2023年初めにかけて一気に広がりました。