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投資家の“本音のギモン”に答えます ESG投資にまつわるQ&A集

2023年7月4日
EUタクソノミーにおいて原子力発電が持続可能な経済活動に含まれるようになることや、海外の一部機関投資家・政治家の間で反ESGの動きが広がるなど、ESG投資をめぐってさまざまな政策変更や投資行動の変化が起きている。こうした背景を受けて、弊誌では今年3月から4月にかけ読者に向けて日ごろESG投資に感じている疑問や意見を尋ねたところ、51件の回答が集まった。
本コーナーではその中でも比較的重複が多かった8つの質問とそれに対する運用会社からのコメントを、誌面には掲載ができなかったものも含めすべて紹介する。


質問1

グローバルでESGに対する見方が一律でないのは投資を躊躇する原因の1つとなっている。反ESG投資の潮流の原因は何か。また長期的な解決策はあるのかを教えて欲しい。(確定給付型企業年金・基金型)


回答

経済と環境・社会との関係をどのように捉えるかは、最終的には個々人の価値観に行き着く話です。これまで長い間、われわれの多くが培ってきた(教えられた)「市場を通じた自由な経済活動で利益の最大化を行うこと、ひいては経済成長を遂げることが最終目的」というシステムと行動様式から転換することは容易なことではありません。そして、ここもとの「反ESG」の動きは、民主的プロセスを経ずして経済的権利が制限されることへの抵抗感の現れとも言えます。
しかし、より多くは、環境や社会に与えてきた負荷と将来世代への影響に対する危機感を抱いています。2019年に米国の主要企業の経営者が株主資本主義を批判し、ステークホルダー資本主義を通じた「パーパス」の実現を唱え、世界的にも支持を得るなど社会的な価値は大きく転換しています。資本市場はこうした経済活動の前提の変化を反映するものであり、「ESG」を投資プロセスに取り込むことは当然の流れであると考えます。

アムンディ・ジャパン
CRIO  岩永泰典氏

回答

米国では、米企業年金の受託者責任を義務付けた法律である「従業員退職所得保障法(通称エリサ法)」とその関連規則などにより詳細な規制が行われています。その中で、歴代の共和党・民主党の米国政権下において、ESG投資に対する姿勢は異なります。2020年末のエリサ法関連規則の改正では、ESG 投資や株主権行使に抑制的なスタンスの改正が実施されたものの、2023年1月実施の改正では、投資の思慮義務や忠実義務に関して2020年の改正を覆す内容となりました。
政治的な考え方を背景に、ESG投資への考え方が大きく変動することも影響しています。また、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格の高騰も、化石燃料投資へ抑制的な姿勢に対する批判的な見方(反ESG)を強める要因になっているようです。しかし、パリ協定など国際的な気候問題に関する目標やそれ以外のさまざまなESGに対する取り組みなどが大きく変化するとは考え難く、長期的なESG投資の潮流は続くとみています。

野村アセットマネジメント 責任投資調査部

回答

2022年は、対ロシア制裁の影響等による化石燃料への回帰、米国の一部の州における反ESG投資運動、グリーンウォッシングのリスクの高まりなど、サステナブル投資は課題に直面しました。一方で、長期的にサステナブル投資を後押しする強い潮流は変わりません。企業や投資家にとって、気候変動などのサステナビリティ課題の財務的重要性は一層高まっており、その影響はほぼ全産業に及び、投資家は今や無視できない状況です。
金融業界に対する顧客や社会の期待も高まっています。当社が実施した「世界気候調査」では、機関投資家の約7割が気候変動を投資方針の中核に据え、66%が今後2年間に生物多様性が重要要素になると回答しました。規制面では、EUが先行しアジアや中南米が追随しています。米国でも連邦法はESG支援の方向に動いています。投資家が投資判断において財務上重要なESG課題を調査・検討することは不可欠と言えます。

ロベコ サステナビリティ統合責任者
マーシャ・ザンドベルヘン氏

回答

ESGは企業の持続的な成長を見極める上で有用な評価項目であるということが、PRIをきっかけに広く機関投資家に受け入れられてきましたが、あらゆる側面からESGの商業化が進んだことからさまざまな混乱が生じているように見ています。また定義が曖昧であることからESG投資をインパクト投資やサステナブル投資、社会的責任投資などと混同されていることも混乱の一因になっていると思われます。
当社グループでは、リターンの向上、リスクの低減にESG調査・分析は必須だと考えており、投資プロセス、投資判断に導入しています。各企業や各業種・地域などへの投資判断が分かれることと同様、ESGに対する考え方や評価が各運用会社によって一致しないことも必然かと思われます。運用会社を選別する立場にある機関投資家の方々も各自ESGに対するポリシーを持つことが受託者として求められるようになっていくと考えています。

コムジェスト・アセットマネジメント マーケティング部
マーケティング&IRマネジャー 渡邉敬氏

回答

現在の反ESG投資の潮流は主に米国で発生していますが、これらは米国国内の政治的要素が大きく影響しています。一方、昨年は、ロシアのウクライナ侵攻によりヨーロッパにおいても、軍需産業が国防上の必要性から投資除外されなくなったり、天然ガス供給不足のために石炭・石油依存への揺り戻しがあったりしました。
しかし、長期的に見て、地球の温暖化が深刻化していることや、さまざまな環境・社会課題に対して金融市場が無関係であることができない事実を考えると、遠くない将来に反ESG投資の潮流は収束していくものと考えます。投資家の皆様が長期目線を持たれ、社会全体は間違いなくサステナビリティ志向で進んでいるという潮流を捉え、引き続きESG投資を拡大されることが解決策と考えます。

アセットマネジメントOne 運用本部 サステナブル投資戦略グループ
グループ長 鷹羽美奈子氏

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