年金・機関投資家の運用関係者にとって身近な時事問題をテーマに、三井物産連合企業年金基金の前常務理事で、現弊誌シニアフェローの小倉邦彦が独自の視点で解説する新コラムがスタート。第1回は「SVB破綻」を取り上げ、破綻の経緯や、プライベート市場を中心に各アセットへの影響について解説します。
3月中旬に突如として浮上した米シリコンバレーバンク(SVB)の破綻問題。一時は金融不安の連鎖も懸念されたが、当局による流動性供給等の素早い対応で、システミックリスクは回避できたようである。3月末にはダウ平均も3万3000ドル台を回復し株価も持ち直してきているが、今後、米国内で中堅銀行に対する規制が強化され、その度合いが強ければ、信用収縮による景気後退は市場にネガティブな影響をもたらす可能性がある。
今回はSVB破綻の経緯や現状を整理したうえで、今のところパブリック市場に比べて目立った影響が見えないプライベート市場に、どのような影響をもたらすかを考察したい。また、SVB破綻の直接の原因となった米国での金利上昇は、運用の世界でも債券系資産への回帰(Bonds are back)という形で静かに地殻変動を起こしつつあるようでもある。そこで、債券市場の影響についても併せて考えたい。