金融政策分析レポート「セントラル・バンク・ウォッチャー:雲行きの変化」
2021年9月8日
ロベコ・ジャパン株式会社
新型コロナウイルスのデルタ株の世界的拡大が続くなかで、各国の金融政策対応には顕著な違いが見受けられます。ロックダウンが再び適用されたニュージーランドでは、準備銀行(RBNZ)は予定された利上げを見送りましたが、ロベコでは年内には利上げが実行されると予想しています。一方、韓国銀行は、デルタ株が拡大するなかでも、予定通り8月に利上げを実行しました。中東欧と中南米においても、複数の中央銀行が利上げサイクルに着手しています。
4大中央銀行の中でも、政策のアプローチには違いが見受けられます。中国では、感染拡大の再燃と不動産セクターに対する従来の引き締め政策の影響が経済成長に及んだため、中国人民銀行は金融緩和によって対応しています。一方、ECBと日本銀行に関しては、足元でECB高官の発言がメディアの注目を集めているものの、金融政策変更に関する重要な決定が発表されるのは年末近くになるとみられます。感染者数の急増に見舞われる米国においても、FRBは年内にテーパリング(量的緩和の縮小)を開始する意向を示しています。
今回のセントラル・バンク・ウォッチャーでは、中央銀行のサステナビリティに関する政策にも注目しました。雲行きが変わりつつあるのは、金融政策に限られた話ではないようです。
要点
- FRB: テーパリングに向けた慎重な歩み
- ECB: 金利のガイダンスから量的緩和のガイダンスへ
- 中国人民銀行: 的を絞った緩和の是非
- 日本銀行: サステナビリティの導入