連載 小倉邦彦の資産運用時事コラム 第39回 資産運用立国推進分科会で語られたアセットオーナーの機能向上と 企業年金・個人年金改革について~GPIFのオルタナ投資取組推進状況、大学の資産運用実態把握等調査他
前回のコラムでは「高市政権の日本成長戦略支援に軸足を移す「資産運用立国」の現状」と題して、自民党資産運用立国議連の提言書「資産運用立国アップグレード」と、日本成長戦略会議で明らかになった新金融戦略骨子(案)を紹介した。新金融戦略は日本成長戦略会議の下で開催された、「新戦略策定のための資産運用立国推進分科会(推進分科会)」でも有識者を集めて議論されていたものであるが、内容は自民党立国議連の提言書と(事務局を通じて)同調しながら作成されており、内容的にはほぼ同じものとなっている。高市政権の推し進める「強い経済」の実現、戦略17分野を主体とした官民連携の戦略投資を促進するためには、日本の金融力を高めていく必要があり、そのためには資産運用立国の取り組みをアップグレードし、これまでのコーポレートガバナンス改革や、資産運用業・アセットオーナーシップの改革といった施策に加えて、日本の資金循環をより高い視点から捉えた施策(金融機関の資金供給、成長支援機能の強化、プレイヤーや商品が多様化し厚みのある金融市場の実現等)を講じていく必要がある、というのが両者に共通した考えである。
推進分科会は2026年1月15日から6月29日まで6回開催されているが、4月2日に開催された第3回推進分科会において、アセットオーナーの機能向上や企業年金・個人年金改革について集中的に議論されているので、本コラムでは厚労省や文科省、GPIFが提出した資料の概要や有識者の主たるコメントも含めてその概要を紹介していきたい。
また、6回の推進分科会において議論され取りまとめられた「成長投資を促進するための金融戦略 -資産運用立国のアップグレード」(新金融戦略)が、7月21日付で内閣官房から公表されたので、アセットオーナー関連については末尾に補足資料として記載した。内容は前回コラムで紹介した新金融戦略骨子(案)を踏まえたものであるが、細部では立国議連の提言書で打ち出された項目をいくつか追加で採用しており、タイトルも立国議連の提言書と同じ「資産運用立国アップグレード」としたことで、両者の類似性がさらに高まったと言える。