目次
前編
はじめに
IFMレポート(GFSR)のサマリー
プライベートクレジット(PC)の始まりと成長
PCが金融の安定性を脅かす可能性
PCの借り手の特徴
PCファンドの流動性
後編
PCにおけるレバレッジ
PCの評価(バリュエーション)
PEファンド、銀行、投資家等との相互関連性
IMFによる政策提言
追記:日銀が指摘するPCファンドの潜在的リスク
終わりに
はじめに
IMFは2024年4月に公表した国際金融安定性報告書(Global Financial Stability Report:GFSR)において、欧米を中心に急拡大し、バンクローン市場やハイイールド債市場に匹敵する規模に成長したプライベートクレジット(PC)を重点的に取り上げてその潜在的リスクを分析した。PCは日本でも確定給付企業年金(DB)の資産運用において重要な位置づけを占める資産クラスになっていることもあり、本コラムでGFSRの概要を取り上げると共に、適宜筆者のコメントも追記することにした。
IMFも個々のPCファンドに懸念があるということではなく、市場規模がドライパウダーも含め2兆ドルを超えるまでに成長し、その規模感から金融市場に与える影響が無視できない存在になっているという点と、巨大な市場に成長しているもののパブリック市場と異なり公開された情報が限定的であるという点に懸念を感じているようである。金融システムの健全性監督機関の立場から見たレポートではあるが、PC市場全体をある程度俯瞰したものになっており、個々のPCファンドに投資する際にも、「木を見て森も見る」という観点から参考になるものと思われる。
同じく本年4月に日銀からリリースされたPCに関するレポートでも、健全性監督機関の立場から見たPCの脆弱性について言及されていたので、巻末でこれについても取り上げることにした。
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