日本国内でも年金・機関投資家の間でプライベートアセット投資への注目が高まる中、インフラプロジェクトのデットファイナンスを投資機会とする「インフラデット戦略」への関心も広がっている。HSBCアセットマネジメントのインフラデット投資部門でシニアプロダクトスペシャリストのシャンティーニ・ネア氏と、日本法人のHSBCアセットマネジメント株式会社で執行役員、機関投資家営業本部長の鈴木規夫氏に、グローバルの市場環境と日本における投資ニーズについて聞いた。
インフラデット投資部門
シニアプロダクトスペシャリスト
シャンティーニ・ネア氏
――はじめにネアさんにうかがいます。運用者の立場から見て、インフラデット投資の魅力はどんな点だとお考えですか。
インフラデット投資にはさまざまな魅力がありますが、代表的なものを3つ挙げたいと思います。1つ目は、キャッシュフローの予測可能性が高く、流動性の低さやスキームの複雑さによって生じるプレミアムも含め、相対的に高い利回りが得られること。2つ目は、担保を取ることによって債権者としてクレジットリスクを低く抑えられること。そして3つ目は、長期のプロジェクトへの投資であることで、保険会社や年金基金などの長期投資家にとって負債のデュレーションと同じ長期間の投資であること。
こうした3つの利点を兼ね備えたインフラデット投資は、市場のボラティリティを避けながら長期に安定的なインカムを獲得する手段として注目を浴びているのだと思います。
――一方で、インフラデット投資のリスク要因にはどのようなことが挙げられるでしょうか。また、リスクを回避するために、どのような方法がありますか。
代表的なリスクを挙げると、①新興国の政治体制の変更などのソブリンリスク、②スポンサーの信用力やプロジェクトや事業にまつわるクレジットリスク、③どのようなストラクチャーでファイナンスを行うかなどの資金調達リスクがあります。
こうしたリスク要因の影響を避けるには、長期にわたってESG要素に基づくモニタリングを続けることが重要です。われわれのチームでは独自のスコアカードを使って、各プロジェクトの利払いがきちんと行われ、元本が償還されるまでESGリスクを評価しています。
――投資期間が長期に及ぶリアルアセットにコミットすることを踏まえると、どの地域のどんなセクターに投資するかが重要だと思います。HSBCのインフラデット運用チームでは、投資対象の地域・セクターについて、どのような方針で臨んでいますか。
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