新NISAの浸透などを背景に、個人投資家のあいだでもETFが浸透しています。どの程度の浸透度合いなのか。そして、この変化が市場に対してどのようなインパクトを与えるのか――。機関投資家にとっても気になる話題ではないでしょうか。
2025年3月、東証は、個人投資家に対するETFの利用状況等に係るアンケート調査を行い、当該調査から得られた結果・示唆を取りまとめました。また、その結果・示唆を受け、ETF普及・理解促進を図るため、ETFの基本から最新の情報を網羅した総合解説本『東証公式 ETFの常識』を発刊しました。
アンケートの概要
アンケート結果(ETF未保有層)
ETFの認知度
ETFの認知度について、約4割の投資家は商品性も含め認知しているものの、約6割の投資家は「名前は聞いたことがある・名前も聞いたことがない」という状況でした。
ETFに投資をしない理由
未保有層がETF に投資をしない理由には、ETFの「仕組みや商品性が分かりにくい」・「情報が少ない」といった情報面の課題がありました。
アンケート結果(ETF保有層)
利用している東証上場ETFのカテゴリ
2年前(※)と比較すると、国内主要指数ETF、国内株レバレッジ型・インバース型商品の利用率は減少しています。また、外国株、高配当株、外国債券ETFの利用が増加しています。
さらに、ETFを保有する投資家のうち、約4割がETFを4銘柄以上保有しており、2年前と比較するとその割合も大幅に増加しています。
※2022年にも東証は個人投資家のETFの利用状況に関するアンケート調査結果の公表をおこなっています。詳しくはこちらをご覧ください。
また、保有銘柄数が増えるにつれ、高配当株、REIT、外国株、外国債券、商品ETF及びアクティブ運用型ETFの利用率が大幅に上昇しています。保有銘柄数が増えるにつれ、徐々に分散投資が行われていることがうかがえます。
流動性向上に対する認知度
2022年のアンケート時と比較し、流動性の向上に対する認知度は10%程度低下しています。東証ETF市場は、2018年にマーケットメイク制度が導入され、流動性が向上していますが、その認知度は十分ではないといえるでしょう。

東証ETF市場についてのリクエスト
一方で、東証ETF市場については、板が厚くなることに対する希望が最も多いという結果になりました。
ここまでをまとめると、以下のようになります。
ETF 未保有層
・ 約6割の投資家が、ETF の商品性について認知していない
・ ETF に投資をしない理由には、分かりにくい・情報が少ないといった情報面の課題が挙げられる
ETF 保有層
・ 約4割の投資家が、ETF を4銘柄以上保有
・ 前回(2022 年)のアンケート結果と比較し、マーケットメイク制度の認知度は 10%程度低下
・ 一方、東証 ETF 市場に対する要望では、板を厚くすることが最も多かった
つまり、東証ETFは投資家から一定の支持を受けているものの、その商品性並びに東証が重点的に取り組んでいる流動性の向上や品揃えの拡充などについて、十分に認知されているとまではいえないことがうかがえました。
そこで、より多くの方にETFについて理解していただき、その普及を図るため、ETFの基本から最新の情報を網羅した総合解説本を発刊しました。
『東証公式ETFの常識』発刊!
本書は、ETFの商品性や活用法といった基本から、マーケットメイク制度の導入やアクティブ運用型ETFの上場など、東証ETF市場の最新情報を解説しています。

『ETFの常識』活用法①「東証ETFの大枠を知る」
本書の冒頭の1章「ETFの特徴」から3章「ETFの活用法」を読めば、ETFとは何か、東証ETF市場の最新トピック、具体的な東証ETFの紹介及び活用法について知ることができます。1章ではETFの主な特徴に加え、アクティブETFの登場やマーケットメイク制度導入による流動性の向上などについて解説しています。2章では東証に上場しているETFを商品性で大別し、ご紹介しています。そして、3章ではETFの活用方法について記載しています。
第1章 ETFの特徴(抜粋)
より深く知りたい読者向けに、4章「ETFの仕組み」から5章「上場による品質の担保」で上場商品ならではの仕組みや制度を紹介しています。ETFは、一般的な投資信託と異なり、上場している金融商品であることから独自の仕組みを持っています。4章ではETFに投資するうえで知っておいたほうがよいETFの仕組みについて記載しています。また、5章ではETFが上場するまでの流れや手続き、制度を解説しています。
『ETFの常識』活用法②「単語から調べる」
本書は索引が付いているので、気になる単語から該当箇所を開くといった辞書のような使い方も可能です。また、用語集も付録しています。
索引、用語解説(抜粋)
『ETFの常識』活用法③「東証ETFを使いこなす」
実際に、東証ETFへの投資を検討している方向けに、6章から7章では、ETFの選び方、情報収集の方法や資料をご紹介しています。東証には300銘柄超のETF・ETNが上場しています。一方で、数多くの選択肢から自分に合った商品を選ぶためにはどうすればよいのか、どのように情報を集めればよいのかといったお悩みも出てくるかもしれません。6章ではETFを選ぶ際の主な観点や、ETFの情報を収集するための方法を具体的に紹介しています。そして、7章では目論見書や月次レポートといったETFの資料について解説しています。
第6章 ETFの選び方・情報収集の方法(抜粋)
本書はこちらのサイトから1部198円(税込)で購入いただけます。
東証上場のETF・ETN銘柄のデータブックである「東証公式ETF・ETN名鑑」もあわせてご活用ください!
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