昨今、企業や富裕層の間で「寄付」への関心が高まっている。それに伴い、今後は影響力のある企業の寄付活動にさらなる注目が集まることが予測される。目先のベネフィットの獲得だけでない、寄付が持つ本来の意義とはどこにあるのだろうか。10年以上前から社会貢献の一環として支援活動に取り組むカーライル・ジャパンの山田和広共同代表に、同社の取り組みについて聞いた。
カーライル・ジャパン
日本共同代表
山田 和広 氏
資金提供だけにとどまらない支援活動に取り組み始めた経緯
――まずは、カーライル・ジャパンの寄付活動についてお聞かせください。いつ頃から、どのような形で寄付を行っていらっしゃるのでしょうか。カーライル・ジャパンでは、10年以上前から社会課題の解決に向けた寄付を行っています。当社で働くメンバーは社会貢献への意識が高く、個人レベルでNPO(特定非営利活動法人)、NGO(非政府組織)などの活動をしている者もいます。
当初はそうしたメンバーからの紹介や、外部から依頼をいただいた案件を精査して寄付先を決めていました。しかし、7~8年前に当社の寄付のあり方、要は、カーライル・ジャパンとしての寄付政策や、当社のバイアウト投資のノウハウを活かして社会貢献につなげられる寄付先はどこかを社内で議論し、長期的に支援していく寄付先を3団体に絞り込みました。経済的な困難や虐待、いじめ、発達障害など生きづらさを抱える子どもたちを支援するNPOのLearning for All(LFA)も、その1つです。
社内議論の際、メンバーの関心が特に高かったのが教育や貧困問題、さらにベンチャー的な活動を行う非営利の民間団体でした。LFA代表理事の李炯植(り ひょんしぎ)さんから最初にお話をうかがった時、世界で五指に数えられる経済大国の日本で、7人に1人の子どもが貧困に苦しんでいる現状に大きな衝撃を受けました。
そこで、一時的な生活支援にとどまらず、子どもたちが将来に希望を持ちながら成長していける環境作りを長期に渡ってサポートしていこうという話になったのです。
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