オルインVol.68 特集1
歴史のはざまで揺れる債券投資
強靭性高めるポートフォリオの最適解を探る
Part1 歴史的な下落局面を経験した投資家は債券投資をどう捉えているか
2023年9月29日
2022年は急速な金利上昇とともに、債券の価格が大きく下落した。
さらに、足元でも米国の長期金利が再び上昇に向かい、2023年も引き続き厳しい環境となっている。さらには、海外のみならず国内においても日本銀行の金融政策正常化に伴う金利上昇懸念が噴出しており、債券投資には逆風が吹き荒んでいる。
国内投資家はこうした環境に対してどのように対処しているのだろうか、そしてどう対処すべきなのだろうか。本特集では読者へのアンケ ート調査を基に投資家の債券投資に関する認識を整理するとともに、運用会社や年金コンサルタントからの新たな環境に対する投資アイデアを踏まえて、債券ポートフォリオのあり方を探っていく。
Part 1では、『オルイン』読者を対象としたアンケート調査(2023年6~8月実施、有効回答数89)の結果を紹介する。回答者の属性は基金型確定給付企業年金が46.1%、規約型確定給付企業年金が20.2%、公的年金・共済が3.4%、事業法人財務部門が7.9%、銀行・信用金庫等が14.6%、生命保険・損害保険が6.7%、その他が1.1%だった。厳しい環境下にある国内投資家は、債券投資のどんな点に悩み、どう対処しようとしているのだろうか。
まず、債券運用における課題を尋ねた設問では、「ヘッジコストの高止まりによるインカムゲインの不足」が56.2%と最も多く、次いで「昨年のように株式との分散効果が効かなくなることに対する懸念」が43.8%、「インフレや政策金利の動向が不明瞭なこと」が38.2%、「為替の管理方針」の33.7%と続いた。(図1)
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