Part2では2022年にリバランスルールに抵触した2つの企業年金にスポットを当てる。本稿ではリバランスの対応に悩む全国印刷製本包装機械企業年金基金の上田豊二郎氏に話を聞いた。
全国印刷製本包装機械企業年金基金
前提を覆す株式と債券の同時下落が
リバランス対応を困難なものに
――まず、貴基金の運用状況についてお聞かせください。
全国印刷製本包装機械企業年金基金の運用資産残高は122億円(2023年2月末)で、政策AMは安定資産・現金が55±5%、収益性追求債券等が25±5%、国内外株・不動産が20±5%という配分になっています(図)。
実際のポートフォリオは一般勘定が30.4%、オルタナティブが23.4%、国内外株・不動産が26.2%、国内外債券が15.2%、短期資産は4.6%で、今年度の運用実績は1.45%のプラスを維持しており(2023年2月末時点)、パフォーマンスが底堅いプライベートアセットの比率が4割弱を占めているため、厳しい環境の中でも比較的健闘できています。
全国印刷製本包装機械企業年金基金
前 資産運用顧問
上田豊二郎氏
――貴基金では、どんなリバランスルールを設定されていますか。
政策AMの各資産枠にそれぞれ±5%の幅を持たせていますが、これがすなわち許容乖離幅になります。またリバランスの頻度は半年に1回で、かつてはコンサルタントとの相談のうえでリバランスに対応していました。このように基本的なルールはありますが、現在はコンサルティング会社との契約が終了しており、そこに昨年の株式と債券の同時下落が発生したことで、どのように動くべきか悩んでいるところです。
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