国内年金にも広く普及したプライベートアセット(PA)。プライベートエクイティ(PE)や不動産を皮切りに、インフラやプライベートデット(PD)などへと投資対象は拡大を続けてきた。特にインカム資産の利回り低下や伝統資産のボラティリティ上昇が課題となった2010年代中盤以降は、オルタナティブ投資の一環でありながら、主力資産と言えるほどの存在感を放っている。
これまでPA投資においては上記のPE、PD、不動産、インフラの4つが主要資産として扱われてきたが、近年これらの資産においていくつかのトレンドが生まれようとしている。本特集では「投資対象」と「投資アプローチ」の両面からPA投資の最新トレンドを追う。
海外コア不動産には慎重な見方が広がり新たな投資機会を探る動きも
不動産やインフラなどのリアルアセットは、投資対象が目に見える形で存在するわかりやすさも手伝って、プライベートアセット(PA)の中でも比較的投資検討が行いやすい資産クラスだ。これまでは安定リターンを狙うコアやコアプラス戦略が国内で人気を集めてきたが、足元どのようなトレンドが起きているのだろうか。不動産に関しては、国内の企業年金は「5・3・3・2規制」からの自由化を経て、2000年代のJ-REITや私募クローズドエンドファンドの隆盛、さらに2010年代の国内オープンエンドファンド(私募REIT)の登場によって裾野が拡がり、その後は海外のオープンエンドファンドへと投資を拡大させていった。現在投資の中心になっているのは国内および海外のオープンエンドで、リスク・リターンを抑えてセクターを分散させた総合型のコアファンドが中心だ。
しかし、三菱UFJ信託銀行(MUTB)のプライベートアセット運用室でリアルアセット運用課長を務める大畑淳氏によると、依然人気を集める国内私募REITに対し、海外のコアファンドについては既にマーケットに過熱感が出ている点、海外金利の上昇に伴うヘッジコストの上昇、さらに為替ヘッジをかけない場合でも金利上昇が不動産価格にマイナスに作用している点などが影響して、投資家の間で慎重な見方が広がっているという。
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