続けて投資家の動向について、同社年金ビジネス部ラップ・ビジネス担当の江口麻衣子氏は次のように解説する。「2023 年度、年金運用のリターンを稼いだのは主に株式。景気先行きが不透明な状況下、ポートフォリオ全般の収益を牽引する役割として、引き続き株式への期待感の大きさが窺えます」。
リターンの目標水準を引き上げる機運が高まっている
足元で注目されるのは、インフレ対応の必要性が叫ばれる中、収益の目標を引き上げる機運が高まっていることだ。
「私たちがお届けしている『ジェニソン・アソシエイツ グローバル・エクイティ・オポチュニティーズ(以下GEO)戦略』は、今こそご注目いただきたい戦略です。特に業界全体でビジネスの拡大が続くファンドラップにおいては、既存のマネジャーとの分散を図る目的で、従来よりもリスク・リターンが高めの運用スタイルを採用する動きが出始めており、GEO 戦略に対する関心が高まっています」(江口氏)。
1969 年に創業したジェニソン・アソシエイツ(以下ジェニソン)。1985年にプルデンシャルグループのPGIMの傘下に入り、足元では約2,140 億ドルの運用資産を誇る。
ジェニソンの強みは高成長企業を見極める眼力にある。半世紀を超える歩みの中、デジタル革命、インターネットの普及など、世界経済の転換を生み出した新時代のスター企業をいち早く発掘し、成長を取り込んできた。
大岡氏は「GEO 戦略はまさにジェニソンのDNA を体現した戦略で、運用手法は一般的なグロース投資とは一線を画します。特徴的なのは、①時間軸の長さ、②集中投資、③売却基準の厳格さです」とその特徴を整理する。
まず①時間軸の長さ。高い収益成長を長期的に継続できるかを、産業構造変化のトレンドも踏まえて吟味するという。②集中投資へのこだわりに関しては、35-45という保有銘柄数に表れている。対ベンチマークリスクを抑えるための銘柄分散は考えていないという。規律のある売買が生み出すアルファ 長期保有銘柄はリターンに大きく貢献
競合戦略との違いが際立つのが、③売却基準の厳格さだ。保有銘柄のバリュエーションに加え、収益成長見通しが悪化した場合はもちろん、投資環境の変化等に応じ躊躇なく売却を行う。
「徹底分析をもとに確信をもって銘柄選択を行いますが、全てが期待通りの結果になるとの慢心は禁物。想定と異なる状況を謙虚に受け入れ、早期にアクションを起こします。当初の見方に固執せず、機敏な判断が運用成績を向上させるとの信念を貫きます」(大岡氏)。
売却後もその銘柄をフォローし続け、状況の好転を受けて再投資することもある。投資銘柄の平均保有期間は2年程度だが、これはあくまで「単純平均」であり、実際には4 年超保有した銘柄がリターンに大きく貢献しており、10 年を超えて保有し続ける銘柄も少なくない。これまでも、保有期間が長い銘柄ほどこの戦略のパフォーマンスを高める立役者となってきた(図1)。想定外の状況となったと判断すれば躊躇なく売却することで、ポートフォリオは常に洗練されていくのである。
注目のNVIDIAに対するGEO戦略の投資行動は
そのひとつの事例として、NVIDIAの売買を紹介しよう。「当戦略は長期にわたるNVIDIAへの投資とフアンCEOとの対話を通じ、彼のAI事業への熱意とビジョンを従来から深く理解していました。その一方、2022年初頭から後半にかけ、当時まだ主力だったゲーム事業への懸念から投資比率をかなり落としました。その後、ゲーム事業の底入れとA I 関連事業の立ち上がりに確信を高め、2023年初頭にかけ再び5%超までウェイトを引き上げ、2023年5月の同社株の急騰が当戦略のリターンに大きく貢献しました。その後しばらくは当戦略の保有比率最上位銘柄で推移し、現時点では再度その比率を落としています。日ごろの丹念なリサーチと規律ある売買判断が奏功した好例です」(大岡氏)。
歴戦のアクティブハウスが見据える次なる注目テーマはなにか
優良企業をいち早く発掘し続けてきた運用チームの次なるターゲットが気になるところだ。「引き続きAI は大きなテーマです。初期のうねりはおそらく後半戦に差し掛かっており、今後はAI を使ったサービスを提供する企業に焦点が移る可能性があり、今はそのタイミングとそこから恩恵を受ける企業に注目しています」(大岡氏)。
AI 以外にも肥満症治療薬、新興国向けのフィンテックなど、この戦略が着目するトレンドは幅広い( 図2)。市場の主役にもぬかりなく目配りしながら中国リスク等を重く見て投資対象を精査、常にメリハリのある運用スタイルはアクティブ戦略の王道と呼ぶにふさわしい。「まさにアクティブ運用の神髄を体感していただけるような当戦略による恩恵を、より多くのお客様が享受できるようサポートしていきます」と江口氏は締めくくった。
Disclaimer
【グラフ・データに関する留意事項】過去の実績は、将来の結果を保証・示唆するものではありません。全てのデータは記載がない場合は2024 年9 月末現在。
【その他留意事項】本稿は、情報提供を目的としたものであり特定の金融商品の勧誘、販売を目的としたものではありません。個別銘柄の記載は例示のみを目的としています。投資助言を構成するものではなく、投資に関する判断材料として用いるべきものでもありません。本稿で紹介している運用戦略の投資にあたっては、当社と投資一任契約を締結していただくことを前提としています。また、当社と一任契約を締結後、その契約に係る運用の権限をグループ内の運用会社に委託します。
【リスク】以下の主なリスクがありますが、それに限定されるものではなく、元本欠損または当初元本を上回る損失が生じる可能性があります。株価変動リスク、為替変動リスク、カントリーリスク、流動性リスク、権利行使期間の制限、ヘッジのリスク等。
【費用】投資一任業務の対価として、投資顧問報酬(資産残高に対し最大1.10%(税抜1.00%)の逓減料率)が費用として発生します。当社と投資一任契約を締結頂いた上で、当社またはグループ会社が運用を行う投資信託を組み入れる場合、別途投資顧問報酬最大0.0550%(税抜き0.050%)が発生します。これらの費用は運用状況や個別の取り決めにより変動するため事前に具体的な料率・上限額を表示することができません。したがいまして、お客様が支払うべき手数料の金額の合計もしくはその上限を記載することはできません。PGIM ジャパン株式会社は、世界最大級の金融サービス機関プルデンシャル・ファイナンシャルの一員であり、英国プルーデンシャル社とは関係ありません。ご投資にあたっては契約締結前交付書面等を良くお読み下さい。
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