今回の資産運用時事コラムは「2024年の運用課題」をテーマに3回シリーズでさまざまなテーマを掘り下げていく。【中編】では、オルタナティブ資産を中心に各資産の市場動向や政策AMへの影響、近年人気を博すオルタナティブ資産のマルチ戦略について議論を展開する。
■目次
【前編】※前回
・はじめに
・仮想座談会出席者一覧
・為替リスクの管理と高止まりするヘッジコスト、対応とその影響
・債券運用の見直し ①外国債券
・債券運用の見直し ②円建て債券
【中編】
・インフレ、高金利、高ヘッジコストが
インカム系プライベートアセット投資に与える影響
・プライベートエクイティへの影響
・デノミネーター効果がDBのプライベートアセット投資に与える影響
・小規模基金におけるプライベートアセット投資の導入~オルタナマルチは解の一つ?
・存在意義が問われるマルチアセット~2024年は正念場
・ヘッジファンドは再評価の兆しも、人気のマルチマネジャ―型はコスト増の懸念
【後編】
・一般勘定の取り扱い~解約控除も無視できず当面は維持が多数
・悩ましい株式運用、バリューかグロースか?スタイル分散か?
・ESG投資~一時のブームは去ったがESGは自然体で考慮されるように
・おわりに
【中編】
インフレ、高金利、高ヘッジコストが
インカム系PA投資に与える影響
司会:欧米での長引く高インフレやそれに伴う高金利、また高水準の為替ヘッジコストは比較的堅調と言われているPA投資にも影響を与えているようです。米国不動産は金利上昇に伴うキャップレートの上昇でバリュエーションが大きく低下、オフィス市場の低迷もあり私募REITのベンチマークであるNFI-ODCEも2022年第4四半期から5四半期連続でトータルリターンがマイナスに落ち込んでいます。
インフラは景気に対する耐性もある程度あり、収入がインフレ連動となっている契約もあるので、外貨建てでは堅調に推移しているようですが、日本のDBが選好するコアのオープンエンド型ファンドではドルベースのリターンが8~9%程度のため、ドル円ヘッジコストが6%近くになるとヘッジ後のリターンが2~3%に圧縮されている状況かと思います。