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揺らぐ米国例外主義、存在感増すユーロクレジット
欧州社債市場への資金流入が加速する構造的背景

2026年3月19日

AIバブル懸念やプライベートクレジット市場の動揺、さらには地政学リスクなど、今後の市場を展望することは一層困難な状況になっている。1926年の創業から100周年を迎える老舗運用会社ルーミス・セイレスで債券運用を務めるピム・ファン・ムーリック・ブルークマン氏に、ユーロクレジット市場について語ってもらった。


ルーミス・セイレス(オランダ) ユーロ・クレジット・チーム担当ディレクター、共同責任者、投資委員会メンバー兼ポートフォリオ・マネージャー ピム・ファン・ムーリック・ブルークマン氏

米国例外主義に突きつけられた疑問符

短期・中期的なドルの価値について、そしてこれまで「例外的」と見なされてきた米国の資本市場が本当にそうなのかといった疑問が浮上しています。FRBの独立性に対する懸念、米国の財政赤字の水準、関税や貿易政策が頻繁に変わること、そして以前から米国政府が守ってきた同盟国との安全保障条約を守り続けていけるのかということにも疑問がついています。

こうした要素をすべて踏まえて考えますと、ドル以外の資産で運用している機関投資家は、これから分散投資を高めて米国外への投資比率を高めていくだろうと思います。

成熟した欧州社債市場の受け皿としての実力

少し過去を振り返って考えてみたいと思いますが、10年から20年前と比べて欧州の社債市場は随分と大きく拡大しました。欧州の社債市場は米国の社債市場ほどの規模や深さはありませんが、それでも欧州外の投資家から大量の資金流入があったとしても十分に吸収できる規模に成長しています。

2026年の欧州クレジット見通し:ファンダメンタルズとテクニカルが支える

ルーミス・セイレスの欧州クレジットチームの中でも2026年の見通しについて議論していますが、マーケット全般としては良好だと見ています。ファンダメンタルズ、バリュエーション、テクニカルとさまざまな要素を見ていますが、現在ファンダメンタルズおよびテクニカルに関してはかなりポジティブに見ています。

先ほど同僚からもドイツの国防費拡大による好影響について説明がありましたが、実際にはそのニーズは国防分野だけに限らず、より幅広いインフラ分野に広がって支出が増えていくと想定しています。中国からの脅威も明らかに欧州に来ていますし、米国との関税戦争もあります。このような状況になって欧州の政府もやっとこの地域の競争力を高めていくために何かしないといけないということに気づいたのです。

資金フローの変化:欧州内から世界へ

こうしたテクニカルな背景をもとに、欧州クレジットにはかなりの資金流入が入ってきていますが、まだその流入元は主に欧州の機関投資家が中心です。しかしながら今後はアジア、中南米、そして中東の投資家からも流入が増えてくると見ています。

バリュエーション:セグメント選別が鍵

バリュエーションに関してですが、ヘッドラインのインデックスを見ていますと、マーケットは少し割高になっていることが示されています。しかしながら、市場のセグメントを区別して見ることが重要です。非景気循環型セクターや企業の資本構成におけるシニアなポジションにはまだバリューがあると考えています。