はじめに
アセットオーナー・プリンシプル(AOP)は原則2で「知見の補充・充実のために必要な場合には、外部知見の活用や外部委託を検討すべきである」と規定し、さらに補充原則2-2ではアセットオーナーの知見の補充・充実のための外部組織活用の一例としてOCIO(Outsourced Chief Investment Officer)を明記した。これによりOCIOに対する確定給付企業年金(DB)の関心が急速に高まっている。一方で、関心は高まっているものの、今まで認知度の極めて低かったOCIOを知っておきたいというDB関係者が太宗で、実際に導入を検討したいというDB関係者はまだ少数にとどまっているというのも事実である。しかし、昨年8月におけるAOPの策定以降、OCIOを導入したDBは絶対数ではわずかながらも着実に増えてきており、DB同様これまで利用のなかった学校法人も含め、今後さらに導入件数が増えていく可能性がある。
本コラムでは6月にOCIOプロバイダーであるコンサルティング会社3社を取材し、各社の体制やこれまでの実績をお伺いするとともに、今後のDBあるいは学校法人等アセットオーナーへの拡大可能性や、それに伴う諸課題を伺った。一連の記事に対する読者の関心は非常に高く、資産運用会社系プロバイダーのレポートも読んでみたいとの要望を多数頂戴したので、OCIOビジネスをグローバルに展開しているブラックロックとゴールドマンにもそれぞれ話を伺う事とした。初回は日経新聞でも日本におけるOCIOの実績が2.5兆円に達すると報じられたように、日本でもOCIOビジネスを本格的に展開しているブラックロック・ジャパンの河野公泰 取締役、クライアント・ビジネス部門長 兼 運用部門 プライベート・マーケッツ本部長とのインタビューになる。