目次
1,資産運用立国のこれまでの流れと企業年金(DB)への影響
2,DBに対する大波は去ったがまだ警戒モードが必要?
3,資産運用立国推進分科会の開催
4,年金制度改正における「見える化」への対応 ~実施は数年後?
5,自民党木原選対委員長主宰「金融問題研究会」による資産運用立国に関する5つの提言
6,自民党資産運用立国議連による「資産運用立国2.0に向けた提言」
7,金融庁による「資産運用サービスの高度化に向けたプログレスレポート2025」
8,おわりに
1,資産運用立国のこれまでの流れと企業年金(DB)への影響
企業年金を巻き込んだ資産運用業者やアセットオーナー改革の流れは、2022年11月28日に「新しい資本主義実現会議」において「資産所得倍増プラン」が決定されたことで本格的にスタートした。わが国の2,000兆円に達する家計金融資産の半分以上を占める現預金を投資につなげることで、持続的な企業価値向上の恩恵が資産所得の拡大という形で家計にも及ぶ「成長と資産所得の好循環」を実現させることを目的とし、以下の取り組みが柱とされた。
| ●NISAの抜本的拡充や恒久化⇒2024年1月から制度改革が実現 ●加入可能年齢の引き上げ等iDeCo制度の改革 ●安定的な資産形成の重要性を浸透させていくための金融経済教育の充実 ●世界に開かれた国際金融センターの実現 ●顧客本位の業務運営の確保 |
「顧客本位の業務運営の確保」に関しては、これまでのプリンシプル・ベースの取り組みでは顧客利益に適さない金融商品の販売が散見される等、その確保が不十分として、法律で根拠を規定する方針が明示され、「金融サービスの提供に関する法律(金サ法)」の改正につながった。また、家計の資産形成を支えるインベストメントチェーンの参加者には金融事業者のほかに年金(企業年金等)も加え、市場横断的な対応を図ることが提言された。