オルインVol.68 特集1
歴史のはざまで揺れる債券投資
強靭性高めるポートフォリオの最適解を探る
Part2 これから待ち受ける新たな市場に企業年金はどんな債券投資で立ち向うか
2023年9月29日
債券市場は、種別や発行体、銘柄数も多く市場も幅広いため、アクティブ運用が報われやすいことでも知られる。債券アクティブマネジャーが現環境に対してどんな戦略で挑むのか、それらを活用してどんなポートフォリオを構築すればいいのか。Part 2では運用会社と年金コンサルタントにその見解を語ってもらった。
海外発の急速な金利上昇によって市場環境は大きく様変わりした
昨年は特に海外の急速な利上げに伴って債券価格が大きく下落し、国内の投資家にとっては苦難の1年となった。米国の利上げのペースはいったん落ち着き、現在、米金融政策当局者は利上げの効果が実体経済に波及する様子を見守っている状況だ。このため、経済指標がどんな結果になるかに左右される、先の見通しにくい展開が続いている。先進各国において金利上昇が進んだ結果、ほとんどの国で短期金利の水準が長期金利を上回る「逆イールド」状態になっている。日本から外債に為替ヘッジして投資する場合は内外金利差からヘッジコストが収益を上回る上に、逆イールド状態ではロールダウン効果の逆のロールアップによるマイナスも発生している。
こうした市場環境がこれまでと異なることは、運用を担当する投資家がもっとも理解しているだろう。2000年代前半から昨年までは低金利、低インフレという言葉に象徴されるように、金利が一時的に上昇する局面はあっても、リスクオフが訪れるたびに金融緩和策が導入されてきた。その結果、市場は予測可能なものとして認識されるようになり、ボラティリティも低下していった。
しかし、「この低成長、低インフレ、低ボラティリティという前提が崩れようとしている」と、キャピタル・グループ(以下、キャピタル)でインベストメント・ディレクターの華村啓陽氏は指摘する。
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