日本のアセットオーナーの中でもトップクラスの先進的運用で知られる企業年金連合会。いかなるポリシーのもとで12兆円超の資産を運用しているのか。運用執行理事の中村明弘氏に話を聞いた。
――はじめに企業年金連合会の運用に対する考え方をお聞かせください。
企業年金連合会では、年金資産運用における基本的なスタンスとして次の5つを掲げています。①市場のリターンは予測不可能である、②リスクプレミアムの存在を前提とする、③積立水準の変動がリスクである、④リスクとリターンの源泉は株式である、⑤オルタナティブ投資はアルファ源泉の多様化を目的とする、というものです。
運用執行理事
中村 明弘 氏[/caption]
政策アセットミックスを策定する時点で、アクティブな見通しに基づく資産配分は行いません。リスクプレミアムの存在を前提に長期運用は報われると考え、長期的な本源的価値に基づいて政策アセットミックスを策定しています。しかしアクティブ運用を否定しているわけではありません。各資産クラスの運用では、むしろ積極的に取り組んでおり、運用資産全体の約85%がアクティブ運用です。これまでに獲得した超過リターンは、年金財政の健全化と安定化につながっています。
また、ポートフォリオ全体のリスクとリターンは株式の割合でその大宗が決まると考えており、政策アセットミックスの策定では、株式の配分比率をまず決め、残りを債券とするシンプルな運用を行っています。オルタナティブ投資も株式か債券の代替と位置づけ、アルファ源泉の多様化を目的にアクティブ運用の一環として投資しています。
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