一般にインフラストラクチャーといえば、社会や経済活動に不可欠な本質的な役割を果たす施設であり、そうした資産に投資をするインフラ投資は、長期契約、規制による参入障壁や料金体系の保護によって長期にわたり安定的な収益を得られることが特徴といえる。しかし、コロナ禍やウクライナ危機、サステナビリティを求める声の高まりなど、社会の変化に応じてインフラそのものの存在が改めて問われている。この企画では、変貌を遂げつつあるインフラ投資の最前線に立って、その姿を概観してみたい。
Part 1 インフラ投資の現状を整理し、トレンドを追う
社会を支えるインフラは、時代の移り変わりとともに新たなステージを迎えようとしている。コロナ禍や脱炭素社会への移行といった時代を動かすトピックから、インフラを取り巻く変化を読み解いていく。
まずは、国内投資家におけるインフラ投資の歴史を振り返ってみよう。
国内の投資家にとって、2010年代前半まではインフラ投資の黎明期であり、提供される戦略の数も少なかった。当時は投資家も伝統資産での運用がメインだったため、今ほどにはプライベートアセットに積極的ではなく、インフラファンドの投資対象を見ても、水道事業、発電、空港、有料道路といった、いわゆるコアアセットが中心だった。
しかし2010年代の後半になると、インフラファンドのファンドレイズ(ファンドの組成による資金調達)が増えていく。国内ではいっそうの低金利が進んだ時期でもあり、分散投資志向を背景に投資対象が拡大していく中で、インフラにも注目が集まったのである。
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