金融政策分析レポート「セントラル・バンク・ウォッチャー:米国への依存」
2024年7月11日
ロベコ・ジャパン株式会社
サービス価格インフレの低下が緩やかなペースにとどまる中で、財政緩和政策による景気の下支え効果を念頭に、各国の中央銀行は引き締め的な政策スタンスの解除を急いでいません。
ECBがピークからの利下げに慎重に着手する一方、FRBは政策金利を据え置いています。しかしながら、インフレ圧力がさらに弱まり、労働市場の過熱感が和らぐ兆候が強まるようになれば、FRBが9月に初回の利下げに踏み切る可能性も維持されています。もっとも、米国の経済成長は鈍化しているとは言え、大幅に減速しているわけではなく、初回の利下げが大統領選挙後に持ち越されるリスクを無視することもできません。
これに対して、日銀と中国人民銀行の現在の政策スタンスは、極めて強く「米国に依存」しているようであり、自国通貨安の影響によって、(その影響がない場合よりも)引き締め的なスタンスを余儀なくされています。実際、インフレ圧力に緩和の兆しが見られるにもかかわらず、日銀は今後3カ月の間に、何らかの形で「量的引き締め(QT)」と利上げを発表すると予想されています。また、中国人民銀行についても、必要な追加利下げを10~12月期まで先送りするのではないかと、ロベコは考えています。
【要点】
- 米連邦準備制度理事会(FRB):9 月利下げへの狭き道
- 欧州中央銀行(ECB):緩やかな緩和サイクル
- 中国人民銀行: 一方向の政策
- 日本銀行:信認の維持
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