世界最大級のセカンダリー運用会社が日本進出分散が効いたプライベートアセットをあらゆる投資家に
1990年の創業以来、36年間にわたってセカンダリー投資一本に取り組んできたコラー・キャピタル。世界11カ国に拠点を持ち、プライベートエクイティとプライベートクレジット双方のセカンダリーを手掛ける同社が、2025年11月に日本法人を設立した。その背景と戦略について、コラー・キャピタルの日本プライベート・ウェルス部門責任者、コラー・キャピタル・ジャパン株式会社代表取締役、田中尚史氏に話を聞いた。
――まずはコラー・キャピタルの概要からお聞かせください。
コラー・キャピタルはロンドンに本社を置くセカンダリー取引に特化した運用会社で、プライベートエクイティ(PE)とプライベートクレジット(PC)、それぞれのセカンダリーのみに絞ったファンドを運用していることが最大の特長です。セカンダリー特化型の運用会社として運用資産残高は世界最大級を誇り、世界11カ国に拠点を展開しています。
1990年の創業から36年間、ぶれずにセカンダリー投資のみに特化してきました。PEの旗艦戦略「コラー・インターナショナル・パートナーズ」は最近9号をクローズし、プライベートクレジットの旗艦戦略「コラー・クレジット・オポチュニティーズ」も最近2号をクローズするに至っています。投資形態についても、投資家ニーズに応える形でバリエーションを設けています。機関投資家向けの旗艦戦略はクローズドエンドファンド型で、富裕層を含めた個人向けにはオープンエンド型で提供しています。
――2025年11月に日本法人を設立されました。その狙いはどこにあるのでしょうか。
多くの機関投資家はプライベートアセットに長期にわたって投資していますが、富裕層など個人の投資家はここ数年でようやくその動きが出始めた段階です。また、日本で提供されているPEの多くはプライマリーファンドで、セカンダリーファンドは限定的です。
セカンダリーの専業業者として、プライマリーと比べた低リスク・高リターンというセカンダリーが提供できる特性を、日本の投資家がさらなる活用により恩恵を享受できると思い、この度日本法人を設立しました。
セカンダリー投資の魅力 魅力的な案件に広範な分散が可能
――セカンダリー投資の具体的な特性や強みについて教えてください。
まず、非常に広範な分散が実現できることです。例えばコラー・キャピタルのPEセカンダリーの旗艦戦略では、ポートフォリオに含まれる社数は実に1000社超、GPは60社超という、プライマリーでは考えられない水準の分散が実現されています。PCでも同様に80社程度のGPが含まれ、ローンの件数は8000本以上にのぼります。
加えて、ビンテージを遡って投資できるという点もセカンダリーならではの特徴です。優れた成績を残した過去のビンテージのファンドを購入して投資できるのは大きな魅力ですし、このビンテージ分散がパフォーマンスの安定性を支える要因でもあります。プライベートアセットでは一般的なビンテージ分散を実現しようとするのは手間と労力が伴いますが、その点でもセカンダリーに投資する意義は大きいといえます。
さらに、ディスカウントで投資できる点も重要です。市場規模拡大に伴ってさまざまな理由からGP、LPの売却ニーズは旺盛であり、売り手は流動性を求めているため、彼らのファンド持分を割引価格で買い取ることが可能な場合もよくあります。
――コラー・キャピタルでは個人投資家向けには主にオープンエンド型でファンドを提供されているとのことですが、セカンダリーとの相性について教えてください。
セカンダリーとオープンエンドは実は非常に相性が良いと考えています。セカンダリーファンドでは投資期間の半分以上が過ぎたプライマリーファンドへの出資分を主に購入するため、コラー・キャピタルはフルインベストメント状態のものにしか投資しません。そのためJカーブ効果は低いです。
また、残存期間が2年程度のファンドに投資するため、年間平均で20〜30%程度がイグジットしていきます。そのため、投資家からの解約にもその分で対応でき、多額のキャッシュを事前に保有しておく必要がありません。特にプライベートクレジットについては時間の経過とともにLTVが低下するため、リスクも下がると想定されます。
セカンダリーファンドは中身を精査した上で組み入れた資産で構成される──原資産の分散化は、リターンをより平滑化し、富裕層投資家にとって理解しやすいパターンへと導く効果を持ちます。
――案件の調達や精査の体制についてもお聞かせください。
調達という観点では、この業界で長年構築してきたリレーションが生きており、まずはコラー・キャピタルに相談を持ち掛けてくれるケースが多くあります。セカンダリーを専門とするコラーはプライマリーファンドのGPにとって直接的なライバルではなく、むしろ信頼のおけるビジネスパートナーとして認識されているからでしょう。もちろん、新興のGPに関してもカバレッジには入っていますから、本当に多くの案件から厳選して投資できるのです。
案件の精査にあたっては、コラー・キャピタルと取引するGPから提供されたポートフォリオの中の投資先企業やローンの状況を正確に把握する必要があります。
また、自社のAIデータサイエンス・グループを持っていることが特徴の一つです。5名のデータサイエンティストが在籍しており、30年かけて構築したGPとファンドに関する膨大なデータベースを活用し、案件の分析と引受審査を行うことが可能です。
こうした厳正な審査体制の結果、先に進める決断に至るのは全取引の約1%にすぎません。プライマリー市場が成長しているからこそ売却ニーズも増え、セカンダリー市場も拡大するという好循環が続いています。
――コラー・キャピタルは2026年1月のスウェーデンの運用会社EQTグループに買収されましたが、この件について運用への影響などはありますか。
この取引により、コラー・キャピタルはより活発に急成長する市場において持続的な成長を実現する基盤を築くことが可能となります。EQT傘下に入っても、コラーの運用およびオリジネーションにおけるプロセスの独立性はしっかり担保するという発表がなされました。
――今後の日本での展開と、投資家へのメッセージをお聞かせください。
上場株式市場はここ数年で顕著な上昇を見せており、今後はむしろ下落局面に対して備えが意識されるでしょう。そのため、株式との相関が低い資産をどう組み合わせていくかが非常に重要になってきています。
そうした環境下で、プライベートアセットなどの新たな投資機会がさまざまな投資家に広がってきていることは非常に喜ばしいことです。その中でも、PEやPCのセカンダリーは有力な選択肢になると自負しています。

コラー・キャピタル・ジャパン株式会社
代表取締役 田中尚史氏