世界金融危機時には大きな損失を出したプライベートアセット投資だが、その後訪れた経済成長の中で投資対象や商品性が一気に多様化し、パラレルで低金利化が進行したことも手伝って、日本の機関投資家にも広く普及した。その一方、マーケットが過熱感を帯びていくにつれ、世界金融危機後に登場した多くのプライベートアセットが「本格的なショックを経験していない」ことを不安視する声が増えていたのも事実だ。そこに突如降り掛かったコロナ禍は、経済のみならず生活様式にも多大な影響をもたらし、収束への道筋もいまだ見えてこない。この未曾有のショックはプライベートアセット投資にどのようなインパクトをもたらしたのか? ビフォーコロナとは何が変わって、何が変わらないのか?コンサルタントや信託銀行、ゲートキーパーなどへの取材を通して探っていく。
コロナ禍でもマーケットは下落幅が小さく反転も早かった
伝統資産との分散、ボラティリティの軽減効果、相対的に高めで安定したインカム、キャピタルリターンによるパフォーマンスの上積み――プライベートアセットが果たす役割はさまざまだが、流動性は犠牲にしても伝統資産にはもはや期待できない「高い投資効率」を実現できるとあって、今日ではオルタナティブ(代替)投資と呼ぶのが憚られるほどの人気を集めている。
それだけに、今般のコロナ禍の影響は大いに気になるところだろう。実体経済や日常生活への影響をよそに、上場市場はいったん落ち着きを取り戻しているが、プライベートアセットはどんな動きを見せたのか。まずは2020年前半のパフォーマンスを振り返ってみよう。
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